2022 Fiscal Year Annual Research Report
網羅的遺伝子解析による多系統蛋白質症の神経筋共通病態解明と治療標的分子の探索
Project/Area Number |
20K16571
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
井泉 瑠美子 東北大学, 大学病院, 助教 (60571453)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 多系統蛋白質症 / 封入体ミオパチー / トランスクリプトーム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度、多系統蛋白質症3型と診断に至った3家系の発端者3例(hnRNPA1遺伝子, p.D314Nヘテロ接合性変異陽性)について、他の遺伝性封入体ミオパチーおよび疾患コントロールとともに骨格筋組織由来RNAをもちいたトランスクリプトーム解析を行った。次年度、各群と多系統蛋白質症における比較から発現変動遺伝子(DEG)を抽出し、それらに対するEnrichment解析、GO term解析を行った。最終年度は、多系統蛋白質症3型で有意に抑制をうけ、hnRNPA1の機能とも関わる複数のパスウェイに注目し、それらの主要分子について凍結骨格筋組織および患者由来iPS細胞をもちいて、発現量、細胞内局在、hnRNPA1や他の多系統蛋白質症関連分子との関連について評価・検討を重ねた。また、上記トランスクリプトーム解析データを用いて、多系統蛋白質症3型の骨格筋におけるスプライス異常の検出を行った。コントロール群との比較により、300を超える分子にスプライスパターンの変化を認め、Enrichment解析、GO term解析により、筋変性に関わりうる遺伝子セットを複数検出した。並行して、遺伝性封入体ミオパチーと病理診断がなされた症例の網羅的遺伝子解析を継続し、最終年度に1例が新たに多系統蛋白質症3型の診断に至った。本研究期間に、新規診断された2家系3例の多系統蛋白質症症例について、臨床症状、骨格筋画像、筋病理所見(微細構造を含む)について横断的に解析を行った。以上の新規診断例の蓄積と筋組織を用いた多面的解析により、多系統蛋白質症に関わる病態の一端を見出した。
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