2021 Fiscal Year Research-status Report
ALSにおける活性化アストロサイトの極性転換に着目した新規治療法の開発
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20K16572
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
四條 友望 東北大学, 大学病院, 医員 (50836898)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アストロサイト / SOD1 / ALS |
Outline of Annual Research Achievements |
筋萎縮性側索硬化症 (amyotrophic lateral sclerosis, ALS) をはじめとする神経変性疾患では、神経細胞の自律的な脱落のみならず、活性化したアストロサイトやミクログリアなどのグリア細胞が神経細胞を選択的に傷害する「非細胞自律性の神経傷害」が認められ、病態の進行を引き起こす。申請者らはこのメカニズム解明の一環としてアストロサイトの自己分泌的機序による活性化に着目し、動物モデル (家族性ALS関連変異SOD1遺伝子過剰発現ラット) を用いたin vivoでの研究をおこなってきた。 当該年度では動物モデル脊髄においてアストロサイト活性化を示す複数のマーカーが特に発症早期においてメッセンジャーRNAレベルおよびタンパクレベルで発現亢進していることをRT-PCRおよび蛍光免疫組織科学で明らかとした。その後に発症早期の動物モデル脊髄 (頸髄および腰髄) を用いたトランスクリプトーム解析を実施し、発症早期の発症部位特異的に動物モデルでコントロールに比して有意に変動する因子XおよびYを同定した。今後はこれらの因子に着目することとし、メッセンジャーRNAレベルおよびタンパク質レベルでの発現量およびその局在をRT-PCR、蛍光免疫組織科学、免疫ブロッティング等の手技を用いて検討していく予定である。同時にこれらの因子がALSの発症規定もしくは病勢進行に寄与している可能性を模索するとともに、因子の阻害を行うことによる動物モデルの運動機能の変化や進行抑制の有無などの介入実験を行うことも検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
脊髄全体での解析は遂行中であるが生体アストロサイトの選択的抽出に難渋している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後アストロサイトへの着目だけでなく、ミクログリアやオリゴデンドロサイトなどのグリア細胞、引いては脊髄の内皮細胞などにも焦点を当て研究の幅を広げていく。
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Causes of Carryover |
世界的なCOVID-19流行により旅費を使用せず、またCOVID流行に関連した物品の不足や納品遅延により物品費が少なくなった。さらに当該年度に別記載の通り研究の進捗がやや遅れており物品費にかかる費用が少なくなった。翌年度分の使用計画としては、旅費を物品費や論文出版費として一部充当するとともに、遅れていた物品分として物品費に充当することを検討している。
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