2020 Fiscal Year Research-status Report
筋萎縮性側索硬化症における液-液相分離制御シャペロンの機能解析
Project/Area Number |
20K16583
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
七浦 仁紀 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (00827909)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 液-液相分離 / シャペロン / 筋萎縮性側索硬化症 / 前頭側頭型認知症 |
Outline of Annual Research Achievements |
筋萎縮性側索硬化症をはじめとする神経変性疾患は、細胞内に蛋白凝集体を呈するが、分子生物学的な病態が未だ明らかでなく、有効な治療法がない。ここ数年、ALSや関連疾患に、low-complexity(LC)ドメインの機能異常が関連していることが明らかとなりつつある。LC タンパク質のアミノ酸組成は数種類に偏り、一般的なタンパク質が取るような高次構造を形成せず、構造や機能に関しては長年謎に包まれていた。近年、FUSやhnRNPA2に代表されるRNA結合タンパク質のLCドメインは、liquid-like dropletsやヒドロゲルを形成することが報告された。細胞の中にはミトコンドリアや小胞体のように膜によって分画されるオルガネラに加えて、核小体やRNA顆粒などのような膜を持たないオルガネラが存在し、その形成と制御にはLC 配列を有するタンパク質によるcross-βポリマー形成や液-液相分離が重要であることが徐々に明らかになってきた。細胞がストレス環境にさらされると、ストレス顆粒と呼ばれるRNAに富む膜を持たないオルガネラが形成され、FUSなどのLCドメインをもつRNA結合タンパクが蓄積するが、異常なヒドロゲルが形成され細胞質内での線維形成が促進されると、ALSなどの神経変性疾患において封入体を形成する。またFUSやhnRNPA2などに生じた遺伝子変異がALSの原因となることも報告されている。本研究では、液-液相分離する蛋白質、および制御機能をもつシャペロンに関して、分野横断的解析を行うことにより、ALSをはじめとする神経変性疾患の病態発症機序を解明し、治療法の開発に繋げることを目指す。本年度はFUSやhnRNPA2などのLCドメインを持つタンパク質の精製系を確立し、生化学的な評価を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はFUSやhnRNPA2などのLCドメインを持つタンパク質の精製系を確立し、生化学的な評価を行うことが出来た。また複数の相分離制御シャペロンに関しても、タンパク質精製系を確立し、FUSやhnRNPA2の相分離制御効果を確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、疾患由来変異を導入したLCタンパク質や、遺伝子変異由来産物等を用いた解析を行い、神経変性疾患と液-液相分離制御異常との関連を検討する。
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Causes of Carryover |
タンパク質精製などの生化学的実験に使用する各種物品のうち、一部の導入が次年度になったため。
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