2022 Fiscal Year Annual Research Report
急性期脳卒中におけるてんかん原生の解明(多施設前向き観察研究)
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20K16603
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
松原 崇一朗 熊本大学, 病院, 助教 (20772156)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | てんかん / 脳卒中 |
Outline of Annual Research Achievements |
実態調査研究として、当院で急性期脳梗塞の診断で入院した患者に対して、現在,患者背景、画像検査、脳波所見など収集し急性症候性発作、および脳卒中後てんかん発症の頻度を前向きに登録している.研究内容の報告として,日本臨床神経生理学会の機関紙である「臨床神経生理学」に「脳卒中のおける急性症候性発作の神経生理」と題して,急性期脳卒中における急性症候性発作とその後のてんかん発症について概説した原著論文が2022/5月に採択された.急性症候性発作が脳卒中後でどのような病態で発症して,脳卒中後の機能予後に影響を与える可能性があることや,その後のてんかん発症の危険性に繋がること,急性期の脳波異常についてもてんかん発症に関連すること,などについてが本原稿に盛り込まれた.本年度は他病態(ミトコンドリア病や扁桃体腫大)についてもてんかん原性などや病態について考察し,日本てんかん学会総会や日本神経学会総会で報告した. 現在,脳卒中後のてんかんと認知症の発症について,総説を国際誌に投稿予定としている.内容としては以下のような内容で報告を予定している.脳卒中後のてんかんや血管性認知症は、臨床転帰を悪化させ、患者のQOLに悪影響を及ぼす重要な合併症である。脳卒中発症後およそ3~6ヵ月で急速に認知機能が低下することが知られているが,脳卒中後てんかんのない患者さんに比べて、認知機能障害が多くみられる。これまでの報告では、脳卒中後てんかんの患者様の約30%に認知機能障害が認められた。脳卒中後てんかんと血管性認知症の発症機序は、脳卒中患者様では重複する傾向があることが示唆されている。またアミロイドβの沈着がてんかんと認知機能低下の両方の病態に関与していることが示唆されており,脳卒中後てんかんでは同病態の合併に注意する必要がある.
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