2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K16607
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
山口 剛史 国際医療福祉大学, 保健医療学部, 助教 (50726510)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 概日リズム / 脈絡叢 / 視交叉上核 / 松果体 / 脳脊髄液 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究においては、認知症をきたす原因の一つである突発性正常圧水頭症でみられる脳脊髄液の過剰な貯留が脈絡叢の概日リズムの破綻である可能性を想定して、脈絡叢からの脳脊髄液の産出が概日リズムにより制御されているか、脳内では脈絡叢を含む自律的で異なる周期を発振する組織が互いに作用を及ぼしながら安定した概日リズムを形成しているかについて検討を行った。 ①脈絡叢の上皮細胞では水チャネルaquaporin1を介して脳脊髄液を産生することが報告されている。また、脳室の上衣細胞で発現するaquaporin4は脳脊髄液の調整に関与することが報告されている。本研究では、ラット脈絡叢をサンプルに、aquaporin1 mRNA及びaquaporin4 mRNAの発現の日内変動をqRT-PCRにより解析した。その結果、第4脳室脈絡叢において、aquaporin1 mRNAの概日リズム性とみられる発現が確認された。一方、側脳室脈絡叢においては、aquaporin1 mRNAの発現に日内変化はみられなかった。また、免疫組織化学ではAquaporin1の組織分布、発現強度での日内変化は見られなかった。 ②互いに作用を及ぼしながら安定したリズムを形成する脳内の4つの組織として視交叉上核、側脳室脈絡叢、第4脳室脈絡叢、松果体に着目した。組織間の相互作用を検討する前段階として、各組織ごとの培養条件(培養開始時間や培養液のpHなど)とその影響に対する検証を行い、今後の共培養実験における基準となる情報を獲得した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①脈絡叢における脳脊髄液産生に概日リズムをもたらす因子の第1候補としたaquaporin1は日内変化が認められた。対象となる材料(組織や抽出したRNA)は確保できているので他の関連因子に関して順次検証をすすめている。 ②本研究で用いるPer2::dLuc トランスジェニックラットから摘出した4組織片のルシフェラーゼ発光測定に適した培養条件は確定している。
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Strategy for Future Research Activity |
①免疫組織染色では、2時点間の比較のみを行ったため発現量に差が見られなかった可能性が考えられる。qRT-PCRの結果をもとに、あらためて組織を採取する時間及び間隔を変更して解析を進めている。また、並行してwestern blotも行い、mRNAで見られた概日リズム性の変化が、タンパク質レベルでも起こっているのかを解析する予定である。 ②脈絡叢における脳脊髄液産生に概日リズムをもたらす因子としてカチオンチャネルTRPV4やクロライドチャネルANO1に着目し、脈絡叢上皮細胞における発現変化について検証を進めている。特にTRPV4は膀胱の内側上皮細胞に存在し、概日リズム性の発現を示すことが報告されていることから期待している。
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Causes of Carryover |
初年度の購入分として申請していた機器は、培養下での組織のルシフェラーゼ発光の測定を行う際に一度に取り扱える数を増やすために追加での購入を計画していたが、測定スケジュールの変更に伴い購入を中止した。繰り越し分をこのスケジュール変更による追加の実験で必要とする試薬代、消耗品代として使用することを予定している。
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Research Products
(4 results)