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2022 Fiscal Year Research-status Report

概日時計複合体は脳脊髄液分泌を操るのか?

Research Project

Project/Area Number 20K16607
Research InstitutionInternational University of Health and Welfare

Principal Investigator

山口 剛史  国際医療福祉大学, 保健医療学部, 助教 (50726510)

Project Period (FY) 2020-04-01 – 2024-03-31
Keywords脈絡叢 / 脳脊髄液 / 上皮細胞 / 概日リズム / 視交叉上核 / 松果体
Outline of Annual Research Achievements

本研究においては、認知症をきたす原因の一つである突発性正常圧水頭症でみられる脳脊髄液の過剰な貯留が脈絡叢の概日リズムの破綻である可能性を想定して、脈絡叢からの脳脊髄液の産出が概日リズムにより制御されているか、脳内では脈絡叢を含む自律的で異なる周期を発振する組織が互いに作用を及ぼしながら安定した概日リズムを形成しているかについて検討を行った。
①脈絡叢の上皮細胞では水チャネルaquaporin1を含む複数の因子の働きにより脳脊髄液が産生されることが報告されている。本研究では、ラット脈絡叢(側脳室、第4脳室)をサンプルに、脈絡叢上皮細胞で発現することが報告されている脳脊髄液産生関連因子のmRNAの発現量において日内変動が見られるかをqRT-PCRにより解析した。その結果、解析した候補因子のうち、グルコーストランスポーター1(Glut1) mRNAの発現に日内変動が認められた。一方、第1候補とした考えていたaquaporin1 mRNAを含むいくつかの因子では日内変動は認められなかったが、おおよそ6時間間隔というウルトラディアンリズムの発現が認められた。
②互いに作用を及ぼしながら安定したリズムを形成する脳内の4つの組織として側脳室脈絡叢、第4脳室脈絡叢、視交叉上核、松果体に着目した。組織間の相互作用を検討するため、per2:lucトランスジェニックラットとwildタイプラットから摘出した各組織をそれぞれ組み合わせ共培養下で時計遺伝子per2 mRNAの発現について調査した。しかしながら、どの組み合わせにおいても、異なる周期が概日リズム性の周期に修正されるというような変化は確認できなかった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

脈絡叢における脳脊髄液産生に概日リズムをもたらす因子と想定した候補のうち、唯一Glut1 mRNAのみが発現量に日内変動が認められた。一方で、想定とは異なったが、第1候補としていたaquaporin1や、NKCC(Na+,K+,Cl- cotransporter1)、Claudin2などにおいて、約6時間周期というウルトラディアンリズムでの発現変動が認められた。また、脈絡叢上皮細胞の1次線毛において発現することが報告されているNPFF mRNAも、側脳室脈絡叢において、同様のウルトラディアンリズムの発現が認められた。

Strategy for Future Research Activity

①mRNAの発現に日内変動が見られたGlut1と、ウルトラディアンリズムが見られたaquaporin1などに関して、タンパク質レベルでも同様の発現変動を示すかを検証するためwesten blottingによる解析を進めている。また、以前行った免疫組織染色では、発現量に差が見られなかったが、これは2時点間の比較のみを行ったためだった可能性が考えられる。qRT-PCR及びwestern bolttingの結果をもとに、あらためて組織を採取する時間及び間隔を変更して解析を行うことを予定している。
②脈絡叢における脳脊髄液産生に概日リズムをもたらす因子としてカチオンチャネルTRPV4やクロライドチャネルANO1に着目し、脈絡叢上皮細胞における発現変化について検証を進めている。特にTRPV4は膀胱の内側上皮細胞に存在し、概日リズム性の発現を示すことが報告されていることから期待している。

Causes of Carryover

初年度の購入分として申請していた機器は、培養下での組織のルシフェラーゼ発光の測定を行う際に一度に取り扱える数を増やすために追加での購入を計画していたが、測定スケジュールの変更に伴い購入を中止した。繰り越し分をこのスケジュール変更による追加の実験で必要とする試薬代、消耗品代として使用することを予定している。

  • Research Products

    (3 results)

All 2023 2022

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Presentation (2 results)

  • [Journal Article] Differences in recovery processes of circadian oscillators in various tissues after sevoflurane treatment in vivo2022

    • Author(s)
      Takeshi Yamaguchi, Toshiyuki Hamada, Norio Iijima
    • Journal Title

      Biochemistry and Biophysics Reports

      Volume: 30 Pages: 101258

    • DOI

      10.1016/j.bbrep.2022.101258

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] ラット脈絡叢からの脳脊髄分泌に関わる遺伝子発現に概日リズムはあるのか2023

    • Author(s)
      山口剛史、大出浩子、松崎利行、浜田俊幸、飯島典夫
    • Organizer
      日本解剖学会
  • [Presentation] ラット脳内の時計群に対する麻酔薬の影響に関する研究2022

    • Author(s)
      山口剛史、浜田俊幸、飯島典生
    • Organizer
      国際医療福祉大学学会

URL: 

Published: 2023-12-25  

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