2022 Fiscal Year Research-status Report
発作間欠期てんかん性放電が認知機能に与える短期的・長期的影響の解明
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20K16613
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Research Institution | National Epilepsy Center, Shizuoka Institute of Epilepsy and Neurological Disorders |
Principal Investigator |
川口 典彦 独立行政法人国立病院機構(静岡・てんかん神経医療センター臨床研究部), その他部局等, その他 (00815219)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | てんかん / 発作間欠期てんかん性放電 / 記憶障害 / 健忘発作 / 脳炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
発作間欠期てんかん性放電が認知機能に与える長期的・短期的影響を検討している。長期的影響については長期記憶の障害を評価する認知機能課題を設計し、てんかん患者や非てんかん患者において課題を施行し、データを集積している。解析の結果、検査の有用性を示す知見が得られたことから、今後は学会発表や論文化を進めていく。 発作間欠期てんかん性放電の認知機能に対する短期的影響については、脳波記録中に行動課題を行い、脳波記録を行っている。なお、この行動課題は複数を準備しており、それぞれの課題における特徴的な脳波活動も発見されており、これについても今後解析と発表を予定している。 本研究の全体に関わる検討事項として、発作間欠期てんかん性放電の判断基準を明確に示すことも本研究の重要なテーマである。解析を進め、論文化していく。 近年、健忘発作を特徴とするてんかん症候群が提唱されている。本年は、当施設の頭蓋内脳波データベースから純粋健忘発作を後方視的に確認し、健忘発作についての報告を行った。これにより、てんかんにおける健忘や健忘発作の誤解を修正し、厳密に記憶障害を評価することが重要であると提唱した。現在、論文投稿中である。 てんかんにおける記憶障害という観点では、脳炎後の症例においても記憶障害が重大な問題となっている。本年は、脳炎後てんかんの症例における治療についての検討を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初期の研究計画に加えて、記憶障害に関する新たな臨床的テーマにも着手しており、幅広い視点からてんかんと記憶障害の関係性を検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
新たな神経心理検査の方法は確立したことから、今後は様々な症例におけるデータ収集を行い、関連する因子についての解析を行う。発作間欠期てんかん性放電の形態的特徴の解析も、すべてのデータの基礎的研究として重要であることから、データ収集と解析、論文化を進める。新たにテーマとして掲げた脳炎後てんかんの症例についても、臨床的側面から解析を行い論文化する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のためオンラインでの学会参加があり出張費が予定よりは抑えられた。物品購入費は予定より安価で購入することが出来た。
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