2020 Fiscal Year Research-status Report
生理的および認知的過覚醒の残存は大うつ病性障害の再発準備性を予測するか
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20K16615
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
竹島 正浩 秋田大学, 医学部附属病院, 講師 (60778736)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | うつ病 / HPA軸 / 過覚醒 |
Outline of Annual Research Achievements |
うつ病は再発を繰り返すほど再発リスクが高まり臨床転帰の悪化につながる。そのため再発ハイリスク群を早期に同定する臨床指標が求められており、生理的過覚醒はその有力な候補となる。 生理的過覚醒とは覚醒レベルの上昇と関連した生理現象を指し、脳波的指標に限らず、交感神経シフト、視床下部-下垂体-副腎系(HPA軸)機能亢進など幅広い生理現象に認められ、うつ病の病態に関連した神経基盤の1つと考えられている。生理的過覚醒はうつ病が回復しても残遺する場合があり、再発準備性を高める大きな要因になると推察されているが、うつ病回復時に生理的過覚醒が健常レベルまで改善しているかの実態は明らかになっていない。また、生理的過覚醒は測定が容易ではないため、診療現場で広く活用されるに至っていない。そこで本研究では、生理的過覚醒指標の代替指標として認知的過覚醒に着目した。本研究の目的は(1)うつ病寛解時に生理的過覚醒指標が健常レベルまで回復しているかを調べること、(2)日本語版認知的過覚醒尺度(Hyper Arousal Scale Japanese version; HAS-J)が生理的過覚醒指標の代替指標となり得るか調査すること、(3)うつ病寛解時のHAS-Jがうつ病再発を予期する因子となるかを探索的に調査することである。 現在、(1)および(2)を調査しており、これまでに8例の大うつ病性障害患者、および3名の健常被検者が本研究にエントリーした。目標症例数まで症例を集積後、解析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでに患者は8名、健常被検者は3名エントリーした。COVID-19パンデミックの問題のため、健常被検者のデータ集積が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
患者群については引き続き、症例を集積していく。健常被検者についてはCOVID-19のために症例の集積が困難であるため、令和3年上半期までに目標被検者数を集めることに計画を変更し、またCOVID-19収束後に短期間で予定被検者数を集められるような体制を整備する。
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Causes of Carryover |
COVID-19パンデミックのため、当初の予定通り症例集積できず、被験者に支払う謝金の支出が少なくなった。また、COVID-19パンデミックのため、予定していた学会出張が中止となり、旅費が計上されなかった。次年度使用額はこれまでの計画に加え、健常被検者を短期間で集めるための体制作り(研究助手の雇用)などに費やす予定である。
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