2021 Fiscal Year Research-status Report
ゲーム障害におけるハームリダクションの観点に基づいた入院治療の効果とその神経基盤
Project/Area Number |
20K16619
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Research Institution | Neuropsychiatric Research Institute |
Principal Investigator |
小林 七彩 公益財団法人神経研究所, 研究部, 研究員 (80841668)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ゲーム障害 / スポーツ / ADHD / 骨密度 / 体力 / 握力 / 敏捷性 |
Outline of Annual Research Achievements |
ゲーム障害患者では運動機能の低下や骨密度低下が指摘されているが、どのような患者で、どのように低下しているかや、治療前後での変化についての十分な検討はない。当院でネット依存プログラム入院を行なった患者の実態と入院前後での変化を調べた。 方法:2019年5月から2021年12月に東京医科歯科大学精神科にネット依存治療目的で入院した患者20名(1ヶ月入院を継続できたものが15人、途中で入院継続を拒否し退院となったものが5名) を対象として自記式心理尺度、体力測定(握力、上体起こし、長座体前屈、反復横跳び)、骨密度測定を行った。実施に当たっては、本人及び家族に説明し、データ利用に関して同意を得た。 結果:対象患者は中学生男児が多く、ADHDの合併が多かった。ネットの平均使用時間は11.8時間、スマ-トフォン利用者が多かった。骨密度はばらつきが多く、ゲーム障害の入院患者では握力、腹筋、柔軟性、敏捷性いずれも低下しており、特に健常者の平均と比較すると敏捷性の低下が著しいことがわかった。また短期間の治療介入により、握力は比較的改善しやすい指標であった。 考察:ゲーム障害患者では体力の低下が顕著であり、スポーツテスト等での体力低下が著しい群でのゲーム障害の検討の必要性が示唆された。入院プログラムは時間制限やスポーツのプログラム、生活リズム是正といった様々なコンポーネントを含むが、うちいずれかが握力の改善に寄与した可能性が示唆された。今後さらなる検討が必要である。 今年度は昨年度と集計期間を変更し新規患者のデータも追加で解析を行った。ネット依存のプログラム入院を利用しなかったものは除外した。fMRIに関しては プログラム利用の有無に関わらず患者データは21件収集し、健常被験者の収集が今後の課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は入院希望の患者が少なく、被験者数が十分ではなかった。理由としては、コロナ感染症蔓延により外出や面会が制限されていたこと、発熱などが生じると個室隔離やデイケア参加が制限され患者の入院継続意思を妨げるような状態になってしまったことなどがあげられた。また画像収集においてもスタッフの感染により検査数の縮小、健常被験者募集の制限などがあった。
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Strategy for Future Research Activity |
健常被験者のMRI撮像の計画を推進、これまでの研究データの発表、論文化を行っていく。
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Causes of Carryover |
学会参加等がすべてオンラインであったこと、正常被験者収集の準備が進まなかったため。
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Research Products
(2 results)