2020 Fiscal Year Research-status Report
統合失調症における体細胞変異の同定:患者・両親トリオを用いた高深度シーケンス
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20K16620
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
井桁 裕文 新潟大学, 医学部, 非常勤講師 (10751026)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 統合失調症 / 分子遺伝学 / 体細胞変異 / 高深度全エクソーム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
目的:本研究の目的は、統合失調症の発症に大きな効果を持つ体細胞変異を同定し、その病態解明および根本的な治療法開発の分子基盤を得ることである。
方法:統合失調症患者・両親45トリオの末梢血ゲノムDNAサンプルを用いて、全エクソーム解析データを既に得ている。その中からde novo変異を検索し、サンガーシーケンスでの確認を行った。また全エクソーム解析での深度が低い26サンプルについて、次世代シーケンサー(NovaSeq 6000)による高深度(約500×)の全エクソーム解析を行っている。患者それぞれの全エクソーム解析データ(高深度+通常深度)に対し、両親の全エクソーム解析データ(通常深度)を参照とし、体細胞変異の検索を行う。また高深度の全エクソーム解析で検出された体細胞変異について、次世代シーケンサー(MiSeq)による高深度(約2,000×)のターゲットシーケンスを行う予定である。対象とするゲノムDNAサンプルは、当該の患者・両親トリオの末梢血に加え、可能であれば患者から爪や毛髪(脳と同じ外胚葉由来)の提供を新たに受ける。
意義:体細胞変異が精神疾患の病態に関与している可能性が示唆されているが、これまで体細胞変異の検出は困難であった。本研究では、統合失調症患者・両親トリオを用いて、高深度の全エクソーム解析を行い体細胞変異の検索を行っている。これにより統合失調症の発症に大きな効果を持つ体細胞変異が同定されれば、その病態解明へと結びつけることが可能となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では本年度(令和2年度)において、高深度の全エクソーム解析および体細胞変異の検索を行う予定であった。高深度の全エクソームシーケンスを行っているが、体細胞変異の検索が終わっておらず、やや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
高深度の全エクソーム解析の結果を用い、体細胞変異の検索を行う。これによって検出された体細胞変異について、次世代シーケンサー(MiSeq)による高深度(約2,000×)のターゲットシーケンスを行う予定である。
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Causes of Carryover |
当初の予定では40サンプルについて高深度全エクソーム解析を行う予定であったが、現在は26サンプルについて高深度全エクソーム解析を行っているため、次年度使用額が発生した。今後は次世代シーケンサー(MiSeq)による高深度(約2,000×)のターゲットシーケンスを行う予定である。また必要に応じ、追加の高深度全エクソーム解析を行う。
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