2020 Fiscal Year Research-status Report
拡散尖度画像を用いた産後うつ病の脳内変化の解明と、新たな診断手法としての応用
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20K16630
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
川村 花恵 岩手医科大学, 医学部, 任期付助教 (90802885)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 産後うつ病 / MRI / DKI / DTI / 大うつ性障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
産後うつ病(以下PPD)は妊娠や産褥期の内分泌的変化が情動変化に繋がると考えられているが、脳科学的なメカニズムは解明されていない。本研究では、PPD患者がどのような脳内変化を来すのか拡散尖度画像(以下DKI)を用いて観察し、PPDの標準的なスクリーニング手法であるエジンバラ産後うつ病自己評価表(EPDS)と比べ、DKIが新たなPPDの診断手法となり得るか検証する。症例集積は前向きコホート研究の形をとり、正常群とPPD群の2群間比較を行う。 当院に設置されている3テスラMRIの撮像条件の設定は完了している。 当院通院中の妊婦および褥婦からエジンバラ産後うつ病自己評価表(以下EPDS)の聴取は問題なく実施できており、妊娠中期(30~32週頃)と産後4日目・2週間・1か月の計4回の聴取ができている。精神科医診察は、正常群は産後1か月頃に、PPD群は疑わしい段階で遅滞なく実施できている。 現時点で被験者は正常群については順調に被験者を集められているが、PPD群については、研究協力者の不足がみられている。EPDSが高得点であっても、マタニティーブルーズであることがほとんどであり、PPDの診断に至る患者は少ない。また本来の医療として、褥婦がPPDにならないように、医療者および自治体との連携で早期介入をしているため、結果的に被験者の不足に繋がってしまうことになる。そのため、正常群との被験者数に差があり、中間解析の実施には至っていない。今後の研究進行度には、PPD群被験者の確保が課題となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの感染対策のため、患者および医療従事者の行動などに制限がある。患者の場合、来院回数や病院滞在時間が増えないよう注意しているため、研究への協力依頼がしにくく、また同意が得られにくい状況にある。研究協力の同意が得られた際には被験者および研究者の感染対策に十分配慮しているが、研究協力が得られにくい現状があり、研究の進行度に大きく影響している。また、同様の理由から移動の制限により、里帰り出産などでの当院での出産を希望する妊婦の数も減少している可能性がある。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルスの流行状況の把握および感染対策を行いながら、引き続き患者への研究協力を得ていく。特に、外出自粛が推奨されている状況だからこそ産後うつ病患者が増えている可能性もあるため、被験候補者の抽出を注意深く行っていく。 学会参加による情報収集は現地への移動制限があるため、web参加を中心に行っていく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の流行により、参加予定としていた学会が中止もしくはweb開催となったことで、旅費および学会参加費が大幅に減少したことが一番の理由である。次年度も旅費については大幅に減少する可能性があるが、研究者自身の感染対策は被験者の感染防止に確実に繋がるため、移動を伴う学会参加は感染の流行が落ち着くまでは実施できないと思われる。web参加型の学会やセミナーなどを活用し、情報収集を行っていく。
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