2022 Fiscal Year Annual Research Report
覚醒剤依存症に対する新たな薬物療法開発のための受容体研究
Project/Area Number |
20K16634
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
沖田 恭治 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 病院 第一精神診療部, 医長 (50456547)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ドパミンD2受容体 / アデノシン2A受容体 / 覚醒剤依存症 / PET |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は覚醒剤依存症患者を対象とした短期間の薬物的介入を含む臨床研究で、陽電子断層撮像法(PET)による受容体イメージング手法を用いて、アデノシン2A受容体(A2AR)の選択的アンタゴニストであるイストラデフィリンが、線条体におけるドパミンD2 受容体(D2R)の結合能に与える影響を評価することを主目的とする。最近一年以内に使用歴があるアクティブな覚醒剤依存症患者(20以上65歳以下)を対象として、イストラデフィリン40mg/日による2週間の薬物介入を行い、介入前後で11C-racloprideをつかったPETスキャンを実施しD2受容体結合能を評価した。介入はプラセボ対照なしのシングルアームデザインで、単純な前後比較である。 これまでに7名が研究参加を完了した。イストラデフィリンによる介入前後で線条体全体(尾状核+被殻+側坐核)におけるドパミンD2受容体結合能の平均は介入前が2.35±0.40、介入後が2.52±0.33で、paired t検定によればt=-3.207, p=0.018と有意差を認め、アデノシン2A受容体遮断役による介入によって覚醒剤使用障害の患者のドパミンD2受容体密度が上昇することが示唆された。線条体の部位ごとに評価すると、尾状核(t=-3.308, p=0.016)と被殻(t=-2.995, p=0.024)では有意差を認めたのに対し、側坐核(t=-1.266, p=0.25)においては有意差を認めなかった。
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Research Products
(1 results)