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2021 Fiscal Year Research-status Report

統合失調症の作業記憶ネットワーク機能障害に関わる錐体ニューロン投射タイプの同定

Research Project

Project/Area Number 20K16644
Research InstitutionKanazawa University

Principal Investigator

坪本 真  金沢大学, 附属病院, 助教 (40835906)

Project Period (FY) 2020-04-01 – 2023-03-31
KeywordsSATB2 / FEZF2 / TBR1 / FOXP2
Outline of Annual Research Achievements

統合失調症患者と対照者のペア20組からの死後脳を用いた。それぞれの死後脳から、統合失調症で低下が多く報告されている視覚作業記憶の神経ネットワークを構成する背外側前頭前野(DLPFC)および一次視覚野(V1)の灰白質からRNAを抽出した。RNAの品質の指標であるRNA integrity number (RIN)の平均値 (標準偏差)は、DLPFCにおいて対照8.6 (0.2)、統合失調症8.5 (0.5)で、V1では対照8.4 (0.5)、統合失調症7.6(0.9)であり、DLPFCではグループ間に有意差は無かった(t38 = 0.81, P = 0.42)が、V1では統合失調症で有意に低かった(t38=3.60, P=0.001)。RNAの発現量はRINにより影響を受けると考えられるので、対照と比較しての統合失調症における変化の統計解析にはRINを共分散変数とする必要があることが示された。各症例の各領域から得られたRNAサンプルを用いてSATB2およびFEZF32のmRNAの発現を定量した結果、SATB2はDLPFCにおいて8.2%、V1では23%増加していることが判明した。共分散分析の結果、統合失調症における変化は、DLPFC (F1,33=6.69, P=0.014)で有意性が検出され、V1でも有意傾向(F1,33=3.08, P=0.089)が認められた。一方、FEZF2は、DLPFCにおいて7.8%、V1では71%増加していることが判明した。共分散分析の結果、統合失調症における変化は、DLPFC (F1,33=4.10, P=0.05)で有意性が検出され、V1では有意性(F1,33=0.08, P=0.79)は検出されなかった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

4: Progress in research has been delayed.

Reason

本研究では、視覚作業記憶ネットワークを構成する大脳皮質領域におけるSATB2、FEZF2、TBR1、FOXP2の発現を20組の統合失調症と健常対照者のペアにおいて計測することを目的としている。2021年度には、これらの症例の脳サンプルが存在する米国ピッツバーグ大学精神科に出張して前頭前野、後部頭頂部の灰白質のRNA抽出用のサンプルを準備する予定であったが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響によりできなかった。そこで、ピッツバーグ大学精神医学部門の共同研究者に依頼してRNA抽出用のサンプルを準備してもらった。それを空輸し、RNAの抽出とPCRを行ったが、サンプルの入手に時間を要したため遅れが生じている。

Strategy for Future Research Activity

2022年度は、上記の2つの転写因子以外に、当初の計画にあったTBR1およびFOXP2についても解析を行い、統合失調症のDLPFCおよびV1における発現変化を解明する。さらに、DLPFCおよびV1に加えて、視覚作業記憶ネットワークを構成する後部頭頂野や二次視覚野からもRNAを抽出して、錐体ニューロンに特異的に発現する転写因子について、統合失調症における発現変化を解析する。

Causes of Carryover

2021年に予定していた20組の同性別で年齢および死後経過時間が出来る限り近い統合失調症と健常対照者のペアのそれぞれの症例からの複数の大脳皮質領域からのRNA抽出用のサンプル準備が、新型コロナウイルス感染拡大により米国への渡航制限により出来なかった。そこで、ピッツバーグ大学の共同研究者に依頼してRNA抽出用のサンプルを準備して空輸し、RNAの抽出とPCRを行ったが、サンプルの入手に時間を要した。そのために、予定していたピッツバーグ大学への出張費および謝金は使用せず、RNAの抽出やcDNAの合成に必要な消耗品の費用の一部しか使用しなかった。2022年度の使用額は、視覚作業記憶ネットワークを構成する4皮質領域において錐体ニューロン特異的な転写因子の発現を定量を継続するために必要な試薬と機器の購入ならびに謝金に使用する予定である。

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Published: 2022-12-28  

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