2020 Fiscal Year Research-status Report
注意欠陥・多動性障害の病態生理におけるNMDA受容体の関わり 脳磁図を用いた検討
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20K16645
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
宮岸 良彰 金沢大学, 附属病院, 助教 (80868547)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ADHD / NMDA受容体 / 脳磁図 / 聴性定常反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
注意欠陥・多動性障害(ADHD)は過活動、衝動性、注意機能障害を特徴とする神経発達障害である。ドパミンを介した神経伝達の異常がその原因と目されているが、グルタミン酸受容体の一種であるNMDA 受容体にも異常がみられる。 聴性定常反応は周期的な音刺激に同調して起こる脳の反応であり、γ帯域の音に同調する聴性定常反応は、脳皮質のNDMA型受容体の機能を反映すると考えられている。 ADHD者では反応抑制を評価する課題中の聴性定常反応に異常があることが報告されており、NMDA受容体の機能異常を反映していると考えられ るが、聴性定常反応と臨床症状との関連性は検討されていない。また、この報告の解析ではノイズが多く混入することが知られており、ノイズ の少ない脳磁図で聴性定常反応を評価することが望ましい。 以上より、聴性定常反応を用いて評価したNMDA受容体の機能障害と、ADHD症状の重症度に関連を認めるかどうかが本研究の目的である。 124名の被検者に対し、ADHD症状の重症度評価尺度としてADHD-Rating Scale-Ⅳを用いて重症度を判別した。ADHD-Rating Scale-Ⅳは世界共通の診断基準であるDSMを基に開発され、広く受け入れられている検査である。さらに、脳磁図と音刺激により得られた聴性定常反応を今後は解析していく。聴性定常反応とは被験者に特定の周波数(本研究では40Hz)の音刺激を与えることで得られる脳活動であり、脳磁図により計測された。時間周波数解析では、Event related spectral perturbasion (ERSP)と inter-trial phase coherence(ITPC)をそれぞれ計算する。これらが重症度に応じてどのように異なるか検定していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究実施計画では結果の解析を終えている予定であったが、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、進捗状況は遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き得られている結果の解析を進めていき、論文化を行う。
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Causes of Carryover |
解析の開始が遅れているため、解析に必要とされる相応の性能を持ったパーソナルコンピューターや各種解析ソフトウェアを購入できなかった。そのため次年度はこれらを購入するとともに、論文化にかかる英文校正や得られた結果を発表するための学会参加費として使用していく。
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