2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K16646
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
韓 薩日娜 浜松医科大学, 光尖端医学教育研究センター, 特任研究員 (90842998)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 一次繊毛 |
Outline of Annual Research Achievements |
神経細胞がもつ一次繊毛には、認知機能に関与するGタンパク共役型受容体(GPCR)が局在する。一次繊毛に局在するGPCRの発現量の変化や一次繊毛の形態異常がアルツハイマー病モデルマウスの神経細胞で生じることが報告され、一次繊毛に局在するGPCRを標的とした陽電子断層撮像法(PET)によりアルツハイマー病などの認知症における一次繊毛機能を画像化する可能性が期待される。本研究では一次繊毛の形態・機能と一次繊毛局在GPCR特異的PETプローブの集積性との関係性を評価する目的で、本年度はPETプローブが高集積する脳領域で、認知症モデルマウスの一次繊毛の形態変化を評価した。 GPCR特異的PETプローブは霊長類の線条体、海馬、皮質で高集積を示し、アルツハイマー病患者では尾状核での集積が健常者と比べて異なることが報告されている。そのため、認知症モデルマウスを用いて、線条体における一次繊毛を神経細胞の一次繊毛に発現するアデニル酸シクラーゼ3型(AC3)に対する蛍光免疫染色で標識した。AC3ポジティブエリアを一次繊毛の長さとし、一次繊毛の形態を評価したが、認知症モデルマウスの線条体においては、一次繊毛の長さに変化が認められなかった。DAPIで染色された細胞核とAC3ポジティブ細胞で線条体における一次繊毛保有率を評価したところでも変化が認められなかった。一次繊毛の長さを測定した画像は焦点面をずらして取り込んだ画像をZ-Projectして、2次元の画像にして解析した。この解析法ではZ軸の情報がなくなって、一次繊毛の長さに正確に測定できなかった可能性がある。また、一次繊毛の保有率の評価はDAPI染色でアストロサイトなどすべての脳細胞核を標識したため、神経細胞の一次繊毛保有率を評価できなかった。そのため、神経細胞を特異的な抗体で標識し、3次元の画像で神経細胞の一次繊毛の保有率と長さの測定を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度は海馬由来神経細胞株を用いて、一次繊毛機能異常モデル細胞を作製し、PETプローブとの結合性を検討するin vitroの実験をする予定だったが、コロナ禍の影響もあり、細胞実験が思うように進まず、当初の予定より遅れている。現在は、in vivoの実験を優先し、組織解析を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
認知症モデルマウスのサンプリングが終了しているため、今後は海馬、皮質における神経細胞の一次繊毛形態変化とGPCRの発現・局在変化を免疫染色にて評価し、認知症モデルマウスにおける神経細胞の一次繊毛機能に異常があるかどうかを確認する。
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Causes of Carryover |
消耗品を購入するために使用する。
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