2020 Fiscal Year Research-status Report
統合失調症患者血清に存在する抗体探索と脳画像的特徴を含めた病的意義の検証
Project/Area Number |
20K16647
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中神 由香子 京都大学, 環境安全保健機構, 助教 (60866185)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 統合失調症 / 自己抗体 / ミトコンドリア |
Outline of Annual Research Achievements |
統合失調症は 幻覚や妄想といった症状から診断される精神疾患である。その背景には遺伝的要因や自己免疫学的要因など、複数の要因の存在が報告されている。2007 年に、抗N-メチル-D-アスパラギン酸受容体(NMDA-R)抗体によって統合失調症に類似した症状を伴う脳炎が引き起こされることが報告された。根治的治療法のない統合失調症と異なり、この脳炎では治療により根治の可能性がある。この2007年の報告以前は、抗NMDA-R抗体による脳炎は統合失調症と診断されていた可能性がある。同様に、現在、統合失調症と診断されている者の中に、実際は未知の抗体によって症状が引き起こされている一群が存在する可能性がある。 本研究では、統合失調症患者の血清に未知の抗体が存在するのではないか、という仮説に基づき抗体探索を行った。具体的には、患者群と対照となる健常群の血清を利用し二次元免疫ブロット法を用いて一部の統合失調症患者のみが抗Pyruvate Dehydrogenase E1 Subunit Alpha1(PDHA1)抗体を有することを発見した。2020年5月に、この結果は世界初の報告として論文発表を行った。 ミトコンドリア代謝と関わるPDHA1に対する抗体が統合失調症患者の一群に認められたことは、統合失調症にミトコンドリア異常が認められるという既存報告と矛盾しない。病的意義解明に向けて、さらなる検証を行う必要がある。そこで、100名を超える血清に対して、ウエスタンブロッティング法により抗PDHA1抗体の有無を評価している。同時に、抗PDHA1抗体の抗体価を評価するために、Enzyme-Linked ImmunoSorbent Assay(ELISA)構築に向けて研究を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究の論文化を行うことができた。一方で、検査対象を拡大して抗体陽性率を評価することに関しては、やや遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
ELISAを構築し、抗PDHA1抗体の抗体価を評価したいと考えている。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症の拡大により研究に遅滞が生じてしまったため、次年度使用額が生じた。研究内容に変更はなく、次年度に使用を計画している。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Development and validation of the Cognitive Behavioural Therapy Skills Scale among college students2021
Author(s)
Masatsugu Sakata , Rie Toyomoto , Kazufumi Yoshida , Yan Luo , Yukako Nakagami , Shuntaro Aoki , Tomonari Irie , Yuji Sakano , Hidemichi Suga , Michihisa Sumi , Takashi Muto , Nao Shiraishi , Ethan Sahker , Teruhisa Uwatoko , Toshi A Furukawa
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Journal Title
Evid Based Ment Health
Volume: 24(2)
Pages: 70-76
DOI
Peer Reviewed
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