2020 Fiscal Year Research-status Report
自閉スペクトラム症における意思決定や行動選択の柔軟性低下について
Project/Area Number |
20K16654
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
藤野 純也 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助教 (90783340)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 発達障害 / 自閉スペクトラム症 / 意思決定 / 柔軟性 / MRI |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの一連の研究結果より、自閉スペクトラム症(ASD)では、複数の場面において、経済学的に合理的な意思決定パターンを示すものの文脈感受性が低く、状況に即して柔軟な意思決定を行うことに困難さがあることが示唆されている。本研究課題では、こうしたASDの意思決定パターンにおける強みや困難さのメカニズムに関する知見を、社会神経科学・神経経済学的手法を用いることで、さらに深めることを目指す。 本年度は、被験者への説明文書、同意書、必要書類の準備、作成などを行い、ASD群および定型発達群のリクルート体制を構築した。また、先行研究に関する文献検索、関連学会に参加することで情報収集し、多様な場面における意思決定の合理性・柔軟性を評価する課題や質問紙を作成した。その上で、多職種から構成される研究チームで議論を重ね、課題の洗練を行なった。加えて、複数のモダリティーのMRI撮像(構造MRI、課題fMRI、安静時fMRIなど)におけるパラメータを選定した。 引き続き、ASD群・定型発達群を対象に、合理性や柔軟性に関する課題を行い、行動データ、ASD症状、 複数のモダリティーのMRI画像パラメータ(安静時脳活動、灰白質体積および白質線維の統合性など)との関連を評価する。さらに、反復性経頭蓋磁気刺激法(rTMS)を組み合わせることで、その因果関係についても検証することを予定している。これにより、ASDの意思決定パターンにおける強みや困難さのメカニズムに関する知見を、多面的に検証し、同疾患群の心理社会的介入法・新規治療法を検討する上で重要な手掛かりにしたいと考えている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染拡大の影響があり、研究計画を中断せざるを得ない期間があり、やや遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
多様な葛藤場面における合理性や柔軟性に関する行動データ、ASD症状や認知機能、複数のモダリティーのMRI画像パラメータ(安静時脳活動、灰白質体積および白質線維の統合性など)の関連を評価する。社会神経科学・神経経済学的手法を駆使することで、同疾患群に対する効果的な心理社会的介入・新規治療法の開発を目指したい。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、研究計画を中断せざるを得ない期間があり、物品費・旅費・謝金などに次年度使用額が生じた。次年度、PCなどの物品費、学会参加や打ち合わせのための旅費、被験者への謝金に使用予定である。
|
Research Products
(1 results)