2021 Fiscal Year Research-status Report
PETを用いたうつ病のECT後の効果維持に関する予測因子の解明
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20K16656
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
野上 毅 日本医科大学, 医学部, 講師 (30701940)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | うつ病 / 電気けいれん療法 / ドーパミン / PET |
Outline of Annual Research Achievements |
電気けいれん療法(electroconvulsive therapy: ECT)は、うつ病において最も効果のある治療法の一つであり、特に薬剤抵抗性のうつ病や重症のうつ病に対して行われている。一方で、ECTは終了後に薬物療法等の維持療法を行わないと3カ月以内に6割の患者が再燃するとの報告がある。過去の我々のPET研究からECT治療直後の評価でドーパミン神経伝達が重要な役割を持つことを示唆している。一方で、これまでECT治療の経過を経時的に評価したPET研究はない。今回[18F]FE-PE2Iを用いてECT治療後のドーパミントランスポーター機能をPETにより経時的に評価し、うつ病の症状の変化との関連を調べることにより、ECTの作用機序やうつ病の治療効果に対する病態解明に寄与することが出来ると考える。 当初の計画においては最初の2年において12名のECT治療による治療に同意したうつ病患者を対象としてMRIによる形態画像検査、ハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)などの神経心理学的検査、初回ECT開始前にDAT機能を評価するための[18F]FE-PE2Iを用いたPET撮像を行い、更にECT治療後数日以内に[18F]FE-PE2Iを用いたPET撮像を行う予定であった。また、それらの被検者をそれぞれECT治療1カ月後、3か月後、6か月後、1年後に振り分けて経時的なDAT機能の評価を行う予定であった。 しかし、被検者の選定や検査スケジュールなどの調整を行ったものの、COVID-19の影響により病院から敷地外のPETセンターへの移動の制限が解除されておらず、なかなか研究を進めることが出来きていない状況である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
昨年に引き続き、COVID-19による影響により被検者の選定までは進むものの、電気けいれん療法の前後のタイミングにおいてPETセンターへの移動が制限されており、PET検査を施行することが出来なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
現在の実施予定では、入院中のうつ病患者のうち、電気けいれん療法による治療選択が行われた患者より被検者を選定していたものの、COVID-19による影響が収束せず病院とPETセンター間の移動が制限された状態が続いている。電気けいれん療法を行うに当たっては、その適応や施行前の身体精査を進める必要があり、通常の治療枠組みではなかなか研究への参加が難しいところであるが、入院前に諸検査を施行可能な電気けいれん療法の適応となる被検者を選定するなど、入院直後や退院直後にPET検査を行うことで症例を集めていきたいと考えている。また、経時的な変化を見るためには研究機関の延長も視野に計画スケジュールを見直していく予定である。
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Causes of Carryover |
本年度はCOVID-19の影響によりほとんど研究を推し進めることが出来なかったことで、研究費を使用することがなかった。計画上、研究の延長も視野にいれながら、物品費、謝礼、旅費など使用計画を修正はかりながら適切に使用していきたいと考える。
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