2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20K16673
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
落合 晴香 福島県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (30844930)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | MMN / P300 / ベンゾジアゼピン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ベンゾジアゼピン系薬剤の依存性や持ち越し効果、記憶障害等に伴う認知機能低下に対して問題視を抱き、社会参加制限の改善を目標としている。 今回の研究方法としては、ベンゾジアゼピン系薬剤の減量や中止を目指す患者に対し、認知機能の変化をミスマッチ陰性電位(Mismatch negativity;MMN)や P300という事象関連電位(Event-related potential;ERP)などを用いて計測を行った。本研究では、ERP測定のほか、認知機能の変化を数字符号置換検査 (Digit Symbol Substitution;DSST)やTrail Making Test 日本版 (TMT-J)、Perceived Deficits Questionnaire-5 (PDQ-5)でも計測し、睡眠への自己評価を アテネ不眠尺度 (Athens Insomnia Scale ; AIS)で計測を行った。目標症例数は40例としていたが、5例の参加者が得られ、全員研究を完了した。5例全員がベンゾジアゼピン系薬剤を減量・中止や非ベンゾジアゼピン系薬剤への置換が行われた。 平均化したデータではMMNでは、潜時が短縮し振幅の減衰がみられた。P300では、大きな変化はみられなかった。TMT-JやDSSTでは、点数が改善しており注意・処理能力の改善が示唆された。AISでは、ベンゾジアゼピン系薬剤減量も、自覚的な不眠症状の悪化はみられなかった。このことから、ベンゾジアゼピン系薬剤減量により、認知機能や注意処理能力改善への影響がある可能性があり、患者の社会参加促進に期待できる結果が得られる可能性がある。しかし、目標症例数が少ないため、今後も症例数を増やしていきたい。本研究は、第51回日本臨床神経生理学会学術大会にて演題発表を行った。
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