2023 Fiscal Year Annual Research Report
マイクログリア由来BDNFが社会性に与える影響の解析
Project/Area Number |
20K16674
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
小森 崇史 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (70736917)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ミクログリア / 社会性 / 臨界期 / 脳由来神経栄養因子(BDNF) / 内側前頭前野(mPFC) |
Outline of Annual Research Achievements |
脳機能の中には、臨界期の経験によって発達するものがある。例えば、視覚発達には臨界期が存在するが、BDNFが過剰となると、興奮性/抑制性(E/I)バランスがE<Iにシフトし、臨界期が早期閉鎖する。同様にマウスの社会性獲得にも臨界期が存在し、生後21日(p21)-p35に幼少期社会的隔離(j-SI)を受けると、臨界期が閉鎖し社会性が低下する。このj-SIマウスは内側前頭前皮質(mPFC)の発達に変化がみられ、E<Iとなる。また、ミクログリア(MG)由来の神経栄養因子の量に混乱がみられる。E<Iへの変化や神経栄養因子の変化は、視覚野の臨界期を制御する因子と類似するため、社会性獲得の臨界期においても神経栄養因子、特にMGのBDNF(MG-BDNF)が関与していると仮説を立てて検証を行った。 まずC57BL/6Jマウスにおいて、j-SIがMG-BDNFを増加させることを見いだした。そのため、MGでのみBDNFが過剰発現するマウスを作成し、さらなる検証を行った。この系では、ドキシサイクリンの投与によりMG-BDNF過剰発現を正常化できるため、時期特異性についての検証が可能である。まず、DOX非投与でMG-BDNF過剰発現が続いたマウスでは、社会性が低下し、mPFCでE<Iの変化を認め、j-SIマウスと同じ表現型を呈した。さらに、mPFCのRNAseq解析により、この変化には視覚野と同じく補体系が関与することを発見した。次に、p21からMG-BDNFを正常化すると、社会性は障害されず、mPFCの異常も生じなかった。しかし、臨界期を過ぎたp45頃からMG-BDNFを正常化しても、mPFCの異常を呈した。これらの結果は、MG-BDNFが時期特異的に社会性とmPFCの発達を制御することを示唆した。
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[Journal Article] Brain-derived neurotrophic factor from microglia regulates neuronal development in the medial prefrontal cortex and its associated social behavior2024
Author(s)
Komori T, Okamura K, Ikehara M, Yamamuro K, Endo N, Okumura K, Yamauchi T, Ikawa D, Ouji-Sageshima N, Toritsuka M, Takada R, Kayashima Y, Ishida R, Mori Y, Kamikawa K, Noriyama Y, Nishi Y, Ito T, Saito Y, Nishi M, Kishimoto T, Tanaka KF, Hiroi N, Makinodan M.
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Journal Title
Molecular Psychiatry
Volume: Online ahead of print.
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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