2022 Fiscal Year Research-status Report
自己臭恐怖の病態と神経基盤の解明:精神症状と消化器症状の相互作用に焦点を当てて
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20K16682
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
河西 ひとみ 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 行動医学研究部, 科研費研究員 (90807067)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 自己臭恐怖 / 過敏性腸症候群 / 心身相関 / 嗅覚 / 生物学的基盤 / 神経基盤 / 自殺念慮 / 病態解明 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は自己臭恐怖 (Olfactory reference syndrome:ORS、嗅覚関連づけ症候群)について、消化器症状との合併という心身相関の観点から病態解明を目指して実施した。ORSは従来、特に日本など東アジアに有病率が高いと言われてきたが、近年、国際的に罹患者が多いこと、国内では消化器症状に関連する臭いを主訴とする自己臭恐怖患者には実際に過敏性腸症候群(IBS)が50%以上の割合で併存していたことが報告されてきた(小林, 2015. 心身医学. https://doi.org/10.15064/jjpm.55.12_1380)。
ORSは、DSM-5では強迫症および関連症に分類されているが、歴史的には不安症や妄想性障害、Schizotypyとの関連も指摘され、病識レベルに幅があり、妄想的とはいえない場合もある。殊に、放屁や便通異常といった身体症状が存在する場合は、了解可能な臭いが出ていることへの不安が何らかのメカニズムによって増幅されている可能性もある。しかしながら、現段階では世界的に研究が乏しい。
プレプリントとして自己臭恐怖と消化器症状の両方を有する研究参加者を対象とした論文を投稿し(Kawanishi et al, JMIR Preprints:未受理, https://doi.org/10.2196/preprints.23895)自己臭恐怖症状の重症度と、IBSの重症度の平均得点は、いずれも中等症を示し、両者には相関があった (r = 0.37, P < 0.001)ことから、次に当初より計画していた嗅覚検査を実施する予定であった。しかしながら、2022年度も新型コロナウイルスの感染対策が依然必要であり、マスクを外して実施する嗅覚検査を実施することが困難であったことから、新たな研究参加者の募集を行わなかった。新型コロナウイルス感染対策の状況が変わり次第、研究が継続できるよう準備を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度も新型コロナウイルスの感染拡大が続いたことにより、マスクを外して実施する嗅覚検査を予定通り遂行することは感染対策上困難であり、新たな研究参加者の募集を行わなかった。
また使用していたMRI(核磁気共鳴画像法)の機種変更により、新たに別機種で撮像を継続した場合のハーモナイゼーションの対応等が必要になったこと等の研究環境に変化が生じたことにより、計画の立て直しが必要となった。 2022年度は研究の再開が可能になるまでの期間、研究代表者が所属する機関に併設する病院にて心療内科医師の診察によるの当該研究対象者(ORSとIBSが併存する)の既存患者の診療継続と、臨床心理士・公認心理師である研究代表者の心理面接を併行して治療の継続を行った(寛解例複数あり)。
また、先行研究や上記の投稿論文の結果からORSとIBSが併存する人々において自殺念慮が高いことが判明したため、2022年度は対象疾患は異なるが心的外傷後ストレス障害(PTSD)の研究に従事し、PTSD患者における自殺念慮について検討を行った。当初の研究対象であったORSとIBSが併存する患者においても、PTSD患者においても、いずれもBDI-Ⅱの項目9で自殺念慮を測定している。いずれの疾患群ともに自殺行動のハイリスク群の人々の割合が多く、臨床において特に重要な課題であるという観点から、疾患分類を超えてPTSD患者の自殺行動(自殺念慮も含む)の生物学的基盤について検討を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルスの感染対策により実施が困難であった嗅覚検査を加えた研究の再開を見越して準備を行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で実施できなかった嗅覚検査を追加した研究を再開するため、また2022年度までに実施した研究の成果を次年度に発表するため、経費が必要となる。次年度の研究費は主に研究参加者への謝金や成果発表に伴う経費に用いる予定である。
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Research Products
(3 results)