2021 Fiscal Year Research-status Report
気管支鏡に従事する医療従事者の水晶体被ばく管理と放射線防護に関する研究
Project/Area Number |
20K16686
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
芳賀 喜裕 東北大学, 医学系研究科, 大学院非常勤講師 (10771488)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 水晶体被ばく / 気管支鏡検査 / 放射線被ばく防護 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、新型水晶体線量計を用いて気管支鏡検査に従事する医療従事者の正確な水晶体被ばく線量の解明と、放射線防護方法を再検討し効果的な放射線防護具の試作を目指す。初年度は、コロナウィルスの影響で臨床での水晶体被ばく評価が困難であり、当該年度もその影響が想定されたため、最終年度に行う予定であった放射線防護方法を検討し効果的な放射線防護具の試作を行った。まず、人体ファントムを用いた被ばくシミュレーションを行い、放射線防護方法を検討した。この結果、X線源に近い方(左眼)の防護が重要と判明した。特に、気管支鏡検査に従事する医療従事者は、X線源を正面で見ないため、眼の防護は正面(前面)より側面と下面からが重要と判明した。また、眼と防護具の距離が防護効果に大きく左右することがわかった。5cm以上離れると1/4程度まで低下した。これをもとに、効果的な放射線防護具の素材や構造を検討し、試作防護具を作成した。現在、放射線防護メーカーとデザインの調整を行っている。最終年度は、この試作防護具を臨床で使用し、効果判定を行う予定である。 また、初年度に行う予定であった気管支鏡検査に従事する医療従事者の正確な水晶体被ばく評価は、当該年度後半より開始した。月によって医療従事者の水晶体被ばく線量に変動はあるものの、線量限度を月に換算した値(1.6mSv/月)の1.5倍以上高くなる場合もあり、年単位で測定することで、線量限度(20mSv/年)を超える可能性が予測された。その上、気管支鏡検査は、心臓IVR領域と比較し、患者の照射皮膚線量が大幅に少ない値であるにもかかわらず、医療従事者の水晶体被ばく線量が高くなることがわかった。しかし、まだ長期的な測定が行えていないため、最終年度も継続して行う予定である。 最終年度は、臨床の水晶体被ばく評価と試作防護具の効果判定等を行い、論文化に向けて取り組む予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度もコロナウィルスの影響のため、臨床における継続的な水晶体被ばく評価の開始が遅れた。そのため、最終年度も継続して行う予定である。放射線防護具の開発は、前倒して当該年度から行っている。放射線防護方法の検討より、試作防護具を作成した。今後、放射線防護メーカーとデザイン調整を行う予定である。最終年度は、進捗に遅れがある臨床の水晶体被ばく評価を重点的に行い、試作防護具の効果判定を含め論文化に向けて取り組む予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、コロナウィルスで進捗が遅れている臨床における水晶体被ばく評価を重点的に行う予定である。評価は、従来通りの水晶体等価線量(1cmまたは70μm線量当量の高い方)とICRPが推奨する水晶体深の3mm線量当量で行う。加えて、患者被ばく関連因子も同時に集計し、医療従事者の水晶体被ばくと比較し、患者と医療従事者の被ばくの関係性を探る。また、他の放射線を使用する検査とも比較し、被ばくの傾向を探る。 試作した防護具については、市販に向けたデザイン調整、臨床想定したシミュレーション、臨床での使用効果判定を行う予定である。 以上の結果を、論文等にまとめる予定である。
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Causes of Carryover |
当該年度も初年度同様コロナウィルスの影響で、水晶体被ばく評価で使用する線量計の使用数が少なかった。次年度は、進捗に遅れがある臨床の水晶体被ばく評価を重点的に行うため、前年度経費を使用する予定である。 また、国内学会や国際学会も初年度に中止やWeb開催等で使用しなかったため、次年度に使用する。
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