2022 Fiscal Year Research-status Report
気管支鏡に従事する医療従事者の水晶体被ばく管理と放射線防護に関する研究
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20K16686
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
芳賀 喜裕 東北大学, 医学系研究科, 大学院非常勤講師 (10771488)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 水晶体被ばく / 放射線防護具 / 気管支鏡検査 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、新型水晶体線量計を用いて気管支鏡検査に従事する医療従事者の正確な水晶体被ばく線量の解明と、放射線防護方法を再検討し効果的な放射線防護具の試作を目指す。 当該年度は、コロナウィルスで遅れていた気管支鏡検査に従事する医療従事者の水晶体被ばくを長期的に評価した。法令では、1年間で50mSvもしくは5年間で100mSv(1年平均で20mSv)とされている水晶体被ばく(水晶体等価線量)が、本研究によって10.4mSv(13人の医師平均)となり、年間限度の半分程度の被ばく線量と判明した。この値は、被ばく線量が高いとされている心臓カテーテル治療に従事する医師とほぼ同等である(Haga Y, et al. Sci Rep. 2017, 7(569))。最も被ばく線量が高かった医師は30mSv程度であり、予備実験(Haga Y, et al. JRR. 2020, 61(5): 691-696)で評価した値とほぼ同等の結果となった。これより、気管支鏡検査での医師の水晶体被ばく防護の重要性が示された。 また、0.175mm鉛当量の頭部固定型放射線防護具を試作した。前年度の結果より判明した眼の正面(前面)より側面下面から防護することが重要ということと、被ばく線量の多い左水晶体を防護することをコンセプトに今までなかった防護具を作製した。気管支鏡検査で医師が患者の頭方向に立って手技を行うことを想定し、患者方向に顔が向いている時を0度として30、45、60、90度時計回りに防護効果判定を行った。最も効果があったのは90度で90%以上であった。また、30度程度でも50%以上の効果を確認できた。これをもとに、防護具の当該年度に特許出願を行った。現在は、市販に向けて放射線防護メーカーと製品開発を行なっている。次年度は、シミュレーションよる防護具の防護効果判定や論文発表、学会発表を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度は、前年度からのコロナウィルスの影響で開始が遅れていた気管支鏡検査に従事する医療従事者の正確な水晶体被ばく線量の評価を行った。予定していた長期間(12ヶ月以上)での水晶体被ばく線量測定については完了し、現在、測定データの集計に加え、患者の被ばく関連情報も整理しているが、データ量が膨大なため、多少の時間を要している。最終年度は、このデータをまとめて論文や学会発表等を行う予定である。 放射線防護具の開発においては、計画通りに進んでいる。当該年度は、試作防護具を形状や材料を検討し作製した。この防護具の防護効果について、ファントムを利用して基礎を検討した。加えて、臨床においても、医師に防護具をつけてもらい防護効果を測定した。データについては、最終年度に論文や学会発表等を行う予定である。 また、試作防護具の防護効果が明らかになったことより特許申請を行い、現在は、放射線防護メーカー等と市販に向けて製品開発を行なっている。 最終年度は、水晶体被ばく評価と試作防護具に関するデータを早急に集計や、製品開発した防護具の効果判定、データの再現性を確認して、論文発表や学会発表を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、コロナウィルスで進捗が遅れていた気管支鏡検査に従事する医療従事者の正確な水晶体被ばく線量評価についての論文と学会発表を行う予定である。水晶体被ばく線量は、国際放射線防護委員会(ICRP)が推奨する水晶体深の3mm線量当量を利用し水晶体近傍で評価した。水晶体線量計の装着部位(右側水晶体もしくは左側水晶体)に関しては、予備実験(Haga Y, et al. JRR. 2020, 61(5): 691-696)で左側が高い値であったことから、本研究でも左側を採用した。加えて、患者被ばく関連因子(患者皮膚表面線量や透視時間、撮影回数、検査件数等)を詳細に集計し、医療従事者の水晶体被ばくと患者と医療従事者の被ばくの関係性を探る。患者の被ばくを測定するにあたり、線量計のトレーサビリティを行った。 放射線防護具の開発については、前年度(当該年度)に試作した放射線防護具をもとに特許申請を行った。現在、市販に向けて放射線防護具の製品開発を行なっている。今年度中には完成予定で、製品の完成後は臨床想定したシミュレーションより防護具の防護効果判定を行う予定である。また、試作開発した放射線防護具のファントム実験や臨床での防護効果を測定についても、データを整理し、最終年度に論文や学会発表等を行う予定である。
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Causes of Carryover |
コロナウィルスの影響で、遅れていた水晶体被ばく評価と防護具の効果判定を行うため、線量計等の購入に使用する予定である。また、製品化に向けた防護具の作製開発経費に使う予定である。 加えて、研究が最終段階に向かっているため、次年度はデータ整理や論文発表、学会発表等に費用を使う予定である。
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Research Products
(6 results)