2022 Fiscal Year Research-status Report
胸部放射線治療中の腫瘍縮小および体内変化により変動する心臓被曝線量評価の研究
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20K16688
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高橋 紀善 東北大学, 大学病院, 助教 (40791702)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 食道癌 / 放射線化学療法 / 心臓被曝線量 / Adaptive radiotherapy / MRI-guided radiotherapy / MRライナック / MR Linac |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はMR-Linacを用いて食道癌の画像を取得するという研究になっている。東北大学にMR-Linacが搬入する時期が遅れていたが、2022年2月から臨床稼働が始まっており、実際の患者に対して治療や画像取得ができるようになった。2021年はまだ稼働していなかったため、症例集積することができなかったが、2022年から症例を集積することが可能となった。研究は遅れてはいるが、症例登録を行うことができたため、少しずつではあるが前進している。最初に登録した症例において、放射線化学療法中に腫瘍は縮小しており、やはりそれに伴って心臓の位置が多少ではあるが変化していた。2例目に登録した患者は残念ながら途中で予定していた放射線化学療法が中止となってしまい、照射前の画像しか取得することができなかった。現在、3例目の症例において画像取得が始まっており、今後症例が増えるよう努力していきたい。 治療が進んでいき体内の臓器の位置は少しずつ変化している。現在主流となっている放射線治療では途中で1回ほど画像を取得しそれに合わせた放射線の当て方に変更する、もしくは最初から最後まで放射線を当てる範囲を変更しないことが一般的である。放射線治療中に放射線の当て方を1回変えるまでは診療点数が加算されるが、2回以上変更しても診療報酬は加算されない。これでは照射野を修正しても、手間が増えるだけとなってしまう。もちろん患者にとってはメリットはあるが、変更する際は医師だけだなく、放射線診療技師・看護師が画像を取得のために時間を割き、医師・医学物理士が放射線の照射野を作成し、その後に医学物理士・放射線診療技師が検証を行うといういくつかの工程がある。今回の研究を通して、臓器・組織の位置関係に合わせて照射野を従来よりもこまめに修正することで患者にメリットが出ることを示し、いずれは保険・加算と発展していくことに期待している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究においては食道癌の中でも心臓に近い下部食道に病変が及んでいる方を対象としている。しかしながら、JCOGにて食道癌の治療において新しい術前化学療法とその後手術が最も治療成績が良いと発表されたこと、また近隣にできた新しい大学病院において腫瘍内科・食道外科が充実してきたことにより、食道癌症例が過去ほど多くは紹介されなくなった。また、当院に紹介されてきたとしても、前述した術前化学療法+手術に流れる症例が多く見られている。そのため、放射線化学療法へ回ってくる症例が少なくなってしまっている。
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Strategy for Future Research Activity |
症例は少ない中ではあるが、引き続き症例集積に励んでいこうと考えている。当院には食道癌キャンサーボードが存在しているため、可能な限り参加し該当となる症例を探していこうと考えている。当院の食道癌キャンサーボードは2週に1回開催されており、私も毎回参加している。毎回、食道癌キャンサーボードの症例を全例確認し、研究に含めるのに的確な症例がいる場合は漏れが無いように注意して見ていきたいと考えている。また、研究機関を延長させていただいた。遅れてはいるが少しずつ症例は増えてきてる。目標は20例としているが、5例集まった段階でまずは一度解析し、その結果を学会で報告したいと考えている。 今回は食道癌の中でも下部食道に病変が及んでいる症例をターゲットにしている。実は日本は下部食道癌よりもその少し頭側に発生する中部食道癌が一番多いと言われてる。下部食道癌はヨーロッパ・アメリカにおいては一番多い食道癌の存在部位となってはいるが、日本でも近年少しずつ増えてきている。 今後は関連施設などにも声をかけていき、可能な限り症例を当院へ紹介していただけるよう働きかけていく予定である。少しでも症例数が増えることを期待しているが、院内で行うことはやはり食道癌キャンサーボードへ積極的に参加していき、下部食道に病変の存在する食道癌症例を探し、今回の研究にリクルートすることを継続していこうと考えている。今後も少しずつではあるが、症例を増やしていきたい。
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Causes of Carryover |
国際学会への参加がコロナ以降激減していること、また症例の集積が悪くMRIの撮影がなかなか思うように進まないことが原因と考えられる。症例を増やすことを努力していき、研究が少しでも進むよう努力したい。
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