2020 Fiscal Year Research-status Report
上部消化管穿孔への非放射性Xe・Kr気体造影剤を使用したCT撮影法の基礎的検討
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20K16689
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
平賀 利匡 山形大学, 医学部, 助教 (60612223)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 3種混合ガス / 非放射性Xeガス / 非放射性Krガス / 酸素 / dual-energy CT |
Outline of Annual Research Achievements |
・非放射性Xe100%ガスと非放射性Kr100%ガス、また純酸素をそれぞれ準備し、混合ガスを 作成した。 山形酸素、大陽日酸、株式会社ユタカとコロナ感染対策下のもとで協議・協力を重ね、高圧ガスを安全に混合できる3種混合ガス作成機器を準備した。高圧ガスから混合ガスを作成する際に、混合ガスを高圧ではない状態でかつ一定の比率に混合し、また安全に混合ガスを封入できるシステム・容器を準備していただいた。各社とも3種混合ガスの作成を行った経験がないことから、どのようにすれば安全に実験が行えるを主眼に協議を十二分に行い、機器準備・納品まで令和2年度12月内に行うことができた。研究計画書に記載した時点よりもガスの価格高騰があり、予定していた研究費よりも高額の経費使用となったため、研究費の前倒し請求を行い、物品準備に充てた。 ・混合ガスの吸収値を当院で稼動しているSiemens社のdual-energy CTであるSOMATOM Definition Flashを使用し、当院放射線技師と協力して撮影した画像で測定を行った。 気体のCT撮影、特にdua-energy CTでの撮影は当院で初めて、世界的にも行われることがほとんどない試みであり、当院放射線部技師、またSIEMENS社の専門家と協議・テストを重ね、撮影条件と解析方法を検討した。撮影条件は80kVと140kV+Snの2つのエネルギーを使用して、同解析機器上で非放射性Xe100%ガス、非放射性Kr100%ガス、純酸素をそれぞれ20%ずつの割合で混合したガス21種類と、Xe:Kr=1:1、Xe:O2=1:1、Kr:O2=1:1、Xe:Kr:O2=1:1:1の同じ割合で混合したガス4種類、計25種類のガスの撮影を令和3年4月に終了し、現在計測を行っている(25種類中、18種類の計測は終了している)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究者が医師であり、勤務場所や研究場所が大学病院であることから、コロナ感染対策を厳重に行っている都合上、山形酸素、大陽日酸、株式会社ユタカ、SIEMENS社との協議・打合せなどを短期間で頻回に終了することができなかった。また日々の医師としての診療でコロナ感染疑いの患者診療・接触機会もあったことから、打ち合わせを行う業者の方へも感染をさせないように感染対策を十分に考慮するような日程調整に尽力した。山形県も令和3年度に県独自の緊急事態宣言を発令したことも、研究遅延の原因となった。 研究計画書では現在進行中の計測過程を令和3年3月中に終了する予定としていたが、令和3年5月中の終了と約2ヶ月の研究進捗の遅延がある状況であり、進捗状況を「やや遅れている」の評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
・令和3年度以降に、実験動物の上部消化管先行モデルを作成し、混合ガスによる経口的消化管造影CT画像を撮影し、画像データを収集する。 当院の動物実験センターの職員とはすでに打ち合わせを開始しており、令和2年度に動物実験における基礎・応用的な知識・技術の学習を開始している。 上部穿孔モデルとしては、胃・十二指腸穿孔モデルをラットで作成する予定であるが、動物実験の倫理的配慮、また気体の造影剤による生体モデルでの実験は世界初の試みであり、少数個体での記述研究での検討に変更する予定である。今後さらに動物実験における技術習得と並行して山形大学動物実験倫理審査申請を行う。倫理審査承認後に上部穿孔モデルの作成し、混合ガスによる経口的消化管造影CT画像をSOMATOM Definition Flashを用いて撮影し、画像データを収集する予定である。
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Causes of Carryover |
3種混合ガスを作成するにあたり、混合ガス作成機器が約50万円と想定していた金額よりも大きくなってしまった。また非放射性Xe100%ガスと非放射性Kr100%ガスが想定した価格よりも高騰し、購入する容量を大幅に減らさなけらばならない状況となった。そのため、かなり大きい割合ではあったがガス価格の変動に対応する意味で150万円の前倒し請求を行った。昨今のコロナ感染状況、かつ研究進捗状況の遅延もあり令和2年度の学会参加・発表が行えなかったことから、旅費として予算は使用していない。また、コロナ感染対策のため研究計画で申請した資料整理補助・データ入力補助は雇っておらず、人件費は発生していない。今後、CT撮影を行っていただいた放射線技師への謝礼・人件費の支払いは検討している。上記のように前倒し請求を行った額に対して、予想よりも使用する研究費が少なくなったため、次年度使用額が「0」よりも大きい額となった。 次年度以降は、混合ガスの再購入、また動物実験のための動物個体の購入・飼育などの諸経費などに研究費を使用していく。また、令和2年度で行った研究結果を関連学会で発表するため、学会参加費・旅費も使用していく予定である。
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