2020 Fiscal Year Research-status Report
CdTe-SPECTによる高空間分解能マルチプローブ生体イメージングの開発
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20K16692
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柳下 淳 東京大学, カブリ数物連携宇宙研究機構, 特任助教 (20626676)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 核医学 / 多核種 / in vivoイメージング / SPECT / マルチプローブ / センチネルリンパ節 |
Outline of Annual Research Achievements |
シンチレーターで検出する現行の放射線生体イメージングではエネルギー(波長)分解能が低く、in vitroの蛍光イメージングで行われるようなマルチプローブ・イメージングは困難であり、一般に空間分解能も低いのが現状である。 我々はCdTe半導体検出器を用いることで、高空間分解能および高エネルギー分解能を有する新しいSPECTを開発した。このSPECTを用い、さらに天文学で用いられているスペクトル解析手法を併用することで、複数の放射性同位元素由来のスペクトルを完全に分離する手法を確立する(目的①)。この手法を用いて、担癌マウスを用いたリンパ節微小転移層とその転移リンパ節をそれぞれ異なる放射性プローブを用いて同時にイメージングすることが可能であるかを検証する(目的②)予定である。初年度ではファントムを用いてSPECTの空間分解能や放射線の定量性に関する実験を行い基本性能を確認した。単核種では検量線を事前に得ておくことで画像データからサンプルに含まれる放射性同位元素のactivityを逆算して求めることができることを確認した。また、複数の放射性同位元素が混合した溶液を用いて実験を行い、サンプルに含まれるそれぞれの放射性同位元素由来のスペクトルやコリメーター由来の蛍光X線を完全に分離する手法を確立できた。これにより単核種の検量線をそれぞれ事前に用意しておけば分離したスペクトルから得られる放射線カウントからサンプル中の放射性同位元素のactivityをそれぞれ求めることが可能であることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で述べた目的①である新しいイメージング手法、すなはち、CdTe半導体センサーにより得られたスペクトルを天文学で用いられるスペクトル解析法を用いて解析し、画像化する手法についてはほぼ確立できた。ただし、これはin vitroの条件下であり、in vivoでは散乱線の影響が強く加わることが予想され、今後はin vivoでこの手法が実行可能であるか検証の検証が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後2年目、3年目において研究実績の概要で述べた目的②に関する実験を進める。 a) マルチプローブ・生体イメージング実証実験(非担癌マウス):簡単な実験系である非担癌マウスにて検証する。核種は3核種用い、リンパ節プローブは市販のTc-99m-フィチン酸およびIn-111 -デンドリマー(既報のプローブ)の2つを同時に用いる。I-125も投与することで甲状腺が描出され、3核種同時使用でイメージングを行う。b) 微小リンパ節転移モデルによるセンチネルリンパ節および微小リンパ節転移巣の同時イメージング:NIS過剰発現マウス乳癌細胞を用いて乳癌リンパ節転移モデルを作成する。NISはヨウ素を細胞内に取り込むトランスポーターであり実験a)の甲状腺に相当する。a)と同様の方法でイメージングを行いリンパ節プローブによって同定されたセンチネルリンパ節およびリンパ節中の微小転移が検出できるかを検討する。 2年目はa)の実験を行いつつ、b)の実験で用いる微小リンパ節転位モデルの確立を行う予定である。
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Causes of Carryover |
コロナウイルス蔓延による実験制限により、特に動物実験の実施に支障をきたした。ある程度資金が必要な実験であるリンパ節転移モデルの作成(免疫不全マウスを使用)やイメージング用放射性核種の使用が昨年度は少なかった。一方でファントム実験やスペクトル解析方法の開発など実行可能な研究を前倒しで進めたがこちらはあまり資金を必要としない研究であったため、結果的に資金を繰り越すことになった。今年度は昨年度十分にできなかった免疫不全マウスおよび放射性同位元素を用いたイメージング実験を行う予定であり、繰越分を当該実験に使用する予定である。
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