2020 Fiscal Year Research-status Report
強T2強調3D-FLAIR画像を用いた髄膜リンパ管の評価および神経疾患の病態解明
Project/Area Number |
20K16697
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中道 玲瑛 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (00833667)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 髄膜リンパ管 / MRI / 磁気共鳴画像 / ガドリニウム造影剤 / Glymphatic system / 加齢 / 神経疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
髄膜リンパ管は、頭蓋内から老廃物を排泄する経路として複数存在するPost-glymphatic clearance pathwaysの1つとされており、上矢状静脈洞の近傍などに存在することが報告されている。これをMRIのhT2-FL画像を用いて描出するため、まず過去に当教室において3T MRIで撮像されたhT2-FL画像を用いて検討を行った。検討項目は多岐にわたり、画像撮像時のパラメータとしてはエコー時間、繰り返し時間、反転時間、フリップアングルの程度、GRAPPA (GeneRalized Autocalibrating Partial Parallel Acquisition)のacceleration factor、励起回数などが挙げられる。描出する対象に合わせた撮像範囲、解像度なども検討が必要となる。これらの検討結果から髄膜リンパ管を直接的ないしは間接的に描出するためのhT2-FL画像における詳細な撮像方法の候補を決定し、健常ボランティアを用いて実際に髄膜リンパ管が描出できるかどうか検討していくことになる。 近年アルツハイマー病などの神経疾患において、発症前の段階における評価によって発症予防に結びつけるようなバイオマーカーが求められるようになってきている。髄膜リンパ管の障害はアミロイドβタンパク質の脳実質への蓄積などに関わると考えられており、その他のバイオマーカーに先行して障害が生じると予想される。Post-glymphatic clearance pathwaysの1つである髄膜リンパ管の評価をMRIで非侵襲的に行うことができれば、アミロイドイメージングなどで確認できるよりも早期に病勢を検知できるバイオマーカーとして利用できる可能性がある。また、得られた画像所見から新たな概念に基づく神経疾患の発症機序解明や予防・治療薬の創薬研究の基礎となる可能性もある。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定通りに初年度の課題としてhT2-FL画像における詳細な撮像方法についての検討を進めたが、シーケンスパラメータや撮像範囲などの候補の選定にやや時間がかかっている。髄膜リンパ管のサイズが小さく、評価に必要なコントラストを得られるように描出するためのパラメータや撮像範囲などを推定することが困難であることなどが原因として挙げられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
検討する過去のhT2-FL画像を増やし、できるだけ早期にシーケンスパラメータや撮像範囲などの候補の選定を行い、健常ボランティアでの撮像へと移行する。これと並行し、hT2-FL画像以外のMRIシーケンスにおいても髄膜リンパ管の描出が可能かどうかの検討も行う。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の流行に伴い複数の学会が中止となり、参加費や旅費などが想定を下回ったことが理由として挙げられる。翌年度においては国内学会において一部現地開催が見込まれることを含め、研究成果につながるような効率的な運用を考えている。
|