2021 Fiscal Year Research-status Report
CTの機種や撮影条件に影響されない人工知能を応用した肺気腫の定量評価法の開発
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20K16701
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
福本 航 広島大学, 医系科学研究科(医), 助教 (00726870)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 肺気腫スコア |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性閉塞性肺疾患は、2030年には世界で死因の第3位になると予想され、喫緊で対策を講じなければならない疾患である。重症度分類や予後予測、治療法の決定には、客観的な評価が必要であり、CTを用いた肺気腫スコアが登場しているが、CT装置や撮影条件によって画質が変化し、その定量値が大きく影響されるため、広くは普及していないのが現状である。そこで、本研究はAIを応用したCTの画像再構成法を用いて、CT装置や撮影条件に影響されない肺気腫の定量評価法の開発を行っている。 2021年度は、肺癌術前に従来より空間分解能の高い超高精細CTで胸部CTが撮影された患者30名を対象として、CT画像を従来の画像再構成法とAIを応用したCTの画像再構成法を用いて作成し、肺気腫スコアの変化について検討した。 結果は、従来の画像再構成であるHybrid-IR、次世代の画像再構成法であるMBIR、AIを応用した画像再構成法であるDLRで再構成したCT画像から得られた肺気腫スコアの平均は、それぞれ4.5(SD:7.3)、5.9(8.6)、3.9(7.1)であり、従来の画像再構成法とAIを応用した画像再構成法に有意な差は得られなかった。また、呼吸機能検査との相関についても調べたが、それぞれの相関に有意な差は得られなかった。 超高精細CTは空間分解能の向上のため、肺癌術前等で有用とされているが、相対的に線量が不足するため、画質が劣化して、肺気腫スコアに影響を与える可能性があると仮説を立てた。AIを用いた画像再構成法では、画質が修復されより正確な肺気腫スコアの算出が可能であると予想したが、従来の画像再構成法と比較して有意な改善が得られなかった。これは、超高精細CTであっても従来の画像再構成法がAiを用いた画質再構成法と同等の画質改善能を有していたためと考えている。さらなる被爆低減など低線量領域での解析が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
超高精細CT画像データは非常に膨大なデータであるため、解析に時間を要する。30名であっても、それぞれの画像再構成の3種類で解析が必要であるため、90症例分のデータを解析しなければならず、予想以上に時間を要した。 さらに、結果も予想とは異なっており、今後は撮影条件の変更が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点での結果は、当初の予想に反して、AIを応用した画像再構成法では、肺気腫スコアの改善が得られておらず、撮影条件の変更が必要である。 2022年度は、さらなる低線量化や再構成関数の変更等を行い、AIを応用した画像再構成法の画質改善能が最も効果を発揮する領域での検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により、国際学会に参加できず、旅費や参加費を使用しなかった。 2022年度は解析の効率化を図るため、解析用モニターを購入する予定である。また、研究結果をまとめ、学会で発表する予定であるため、学会参加費や旅費として使用する。さらに、論文化すべく解析用ソフトフェアの購入や英文校正費、論文投稿費に使用する予定である。
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