2022 Fiscal Year Research-status Report
CTの機種や撮影条件に影響されない人工知能を応用した肺気腫の定量評価法の開発
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20K16701
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
福本 航 広島大学, 医系科学研究科(医), 助教 (00726870)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 肺気腫スコア |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性閉塞性肺疾患は、2030年には世界で死因の第3位になると予想され、喫緊で対策を講じなければならない疾患である。重症度分類や予後予測、治療法の決定には客観的な評価が不可欠であり、CTを用いた肺気腫スコアが登場している。しかしながら、肺気腫スコアはCT装置や撮影条件によって画質が変化し、その値が大きく影響されることが問題点である。本研究はAIを応用したCTの画像再構成法を用いて、CT装置や撮影条件に影響されない肺気腫の定量評価法の開発を行っている。 2021年度には、超高精細CTによる肺気腫スコアについて、従来の画像再構成法とAIを用いた画像再構成法を比較したが、予想に反して有意な差が得られなかった。これは肺気腫スコアは縦隔条件のCT画像を用いて行うのが一般的であるが、縦隔条件は肺野条件と比較して画像ノイズが低く、再構成による違いがあまり影響しなかったと考察した。 2022年度は、肺野条件のCT画像を用いた肺気腫スコアについて、従来の画像再構成法とAIを用いた画像再構成法を比較した。肺野条件では、AIを用いた画像再構成法により画像ノイズが低下し、肺気腫スコアも変化した。しかしながら、前述のとおり、肺気腫スコアは縦隔条件のCT画像を用いて測定することが一般的であるため、実臨床には応用しにくい点が問題であった。また、肺気腫の真値が定まっていないため、どちらの再構成法が優れているか判断困難であった点も大きなリミテーションとなった。 2023年度は、CT画像のスライス厚の違いによる肺気腫スコアの影響について調べるため、超高精細CTで撮影された1mm、0.25㎜のCTデータを従来の画像再構成法とAIを用いた画像再構成法で再構成し、肺気腫スコアの違いについて検討する。また、真値との比較を行うため、ファントム実験を追加する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2022年度は、COVID-19感染症の爆発的流行により診療負担の増加や人員不足が生じ、研究活動に充分な時間を割くことが困難であった。 2023年度は、COVID-19感染症はすでに終息傾向であるため、前年度より研究活動に従事できるものと期待している。
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Strategy for Future Research Activity |
2020-2022年度までの研究では、AIを用いた画像再構成法を用いることで、ノイズの多いCT画像から算出された肺気腫スコアの改善が期待できることが明らかとなった。 2023年度は、肺気腫スコアについて、CT画像のスライス厚の影響について調べ、AIを用いた画像再構成法を用いることで、その改善に挑む。 肺癌術前に超高精細CTで撮影された1mm、0.25㎜のCTデータを従来の画像再構成法とAIを用いた画像再構成法で再構成し、肺気腫スコアの違いについて検討する。また、自作ファントムおよび肺気腫ファントムを用いて、真値との違いについても検討する予定である。
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Causes of Carryover |
COVID-19感染症の流行により、研究活動が制限され、学会参加等ができなかったため。 2023年度では、学会参加費や追加のファントム実験費用に充てる予定である。また、論文の英文校正費や投稿費にも使用する予定である。
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