2023 Fiscal Year Annual Research Report
脳血管造影とMRIの融合画像を用いた穿通枝領域の脳梗塞の病態解明
Project/Area Number |
20K16716
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
高下 純平 藤田医科大学, 医学部, 講師 (90866732)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 脳梗塞 / 穿通枝 / 脳血管造影 / MRI / 融合画像 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳皮質下, 脳幹など脳血管の穿通枝領域の梗塞のうち, Branch atheromatous diseaseは, 進行性かつ重度の後遺症を生じ得る重要な病型である. しかし, 従来 のMRIでは細径の穿通枝や近傍の動脈硬化性病変を描出することが困難なため, その病態は病理所見から提唱された概念の域を出ていない. 本研究は, 脳の穿通枝血管を描出可能な脳血管造影による3D rotational angiography画像と, MRI画像を融合するシステムを開発し, 穿通枝領域の脳梗塞の病態解明に資する情報の提供を目的とした研究である. 脳血管造影画像とMRI画像の位置合わせを可能にするアプリケーションを用いて, 穿通枝梗塞の融合画像から得られた穿通枝血管近傍の動脈硬化や穿通枝自体の形態の解析が可能となった. また, 位置合わせアプリケーションを用いて, 位置合わせの正確性検証のための位置合わせ実験の手法を確立し, これにより融合画像の位置合わせの誤差を定量化可能となった. 研究期間中に, 穿通枝領域に脳梗塞を有する118例において融合画像の作成, 解析が可能であった. 118例中52例 (44%)で脳梗塞の責任穿通枝が同定された. 52例のうち, 44例において責任穿通枝の形態の評価も可能であり, 27例 (61%)で穿通枝近位に狭窄が認められることが判明し, これらはbranch atheromatous diseaseを示唆する所見と考えた. また, 穿通枝の狭窄を認めない例において心房細動合併例が多く(29% vs. 4%, P=0.03), 穿通枝領域に塞栓症による脳梗塞を発症する可能性があることを示した. この研究成果をEuropean Stroke Organization Conference 2023, 第49回日本脳卒中学会学術集会で口演発表した。現在英文論文を国際学会誌へ投稿中である。
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