2022 Fiscal Year Research-status Report
MRIと流体固体相互作用解析の融合による内臓動脈瘤塞栓後の再開通リスク因子の解明
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20K16718
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鎌田 裕基 東北大学, 大学病院, 医員 (00789836)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 内臓動脈瘤 / 再開通 / CFD |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き、内臓動脈瘤に対するcoil packingの治療対象となる症例が少なかったため、既存の少数症例に対する血流解析を行い、再開通のリスク評価を行った。塞栓治療を行った内臓動脈瘤の症例のCT画像から血管形状を抽出し、流体シミュレーションで用いる血管形状モデルを作成した。血管形状モデルにおいて、瘤のneckあるいは瘤と流出血管の間に断面を設定することで、瘤領域と血管領域とに分割した。コイルで充填された瘤領域を、均一な多孔質体と仮定することで、コイル塞栓された瘤内の流れを表現した。コイル塞栓の目的は、コイルの留置による動脈瘤内の流れの停滞と血栓形成の促進にあるため、多孔質体で表現した瘤領域の流れのよどみを評価指標とした。血管モデルの入口に、内臓動脈における生理学的な範囲内の流速を設定した。血流シミュレーションを行い、コイル充填率に対応する多孔質体の空隙率を変化させることで、瘤内の流れの停滞の変化の傾向を検討した。再開通を認めなかった症例では、コイル充填率が低くても、瘤内の流れが比較的停滞しやすい傾向にあり、実際のコイル充填率に対する瘤内の流れ停滞の程度も高いことがわかった。一方、再開通を認めた症例では、コイル充填率が低いと、瘤内の流れの停滞が得られにくく、実際のコイル充填率に対する停滞の程度が低かった。以上から、塞栓された瘤内を多孔質体と仮定し、流れのよどみに着目した血流解析は、再開通のリスク評価に有用な可能性が示された。得られた結果を論文にまとめ、国際雑誌に投稿し査読中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
内臓動脈瘤のcoil packing症例が少なく、MRIによる血流計測・解析を蓄積できなかった。既存の治療症例に対して血流シミュレーションを主体とした塞栓後再開通リスク評価を行うこととしたため、解析手法を変更する必要が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に行った多孔質体モデルを用いた血流シミュレーションの計算設定や妥当性の検証を行い、より現実的な再開通リスク評価法を探究する。
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Causes of Carryover |
今年度もコロナウイルス感染拡大を懸念し、出張に対する支出がなかったため。
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Research Products
(1 results)