2020 Fiscal Year Research-status Report
患者検体を用いて血中エクソソームPD-L1の放射線治療抵抗性への関わりを検討する
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20K16724
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
玉利 慶介 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (30718995)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 放射線治療 / エクソソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
がん治療における放射線治療は局所療法として確立した治療法であるが、放射線治療後の再発のしやすさについて、生物学的理由は完全には明らかになっていない。現状の放射線治療では「疾患」によって根治線量が決められているが、同じ根治線量を投与してもがんの放射線感受性は多様であり、放射線高感受性の患者をバイオマーカーによって特定できれば、線量を患者別に変えた治療を提供できる可能性がある。本研究ではそこに焦点を当てて、患者の血液サンプルの解析を行い、リキッドバイオプシーでのがんの放射線感受性の高さに相関するバイオマーカーの同定を目指す。本研究の動機は、マウスを用いた予備実験でエクソソームに含まれるPD-L1が生体内での放射線抵抗性に関わる結果を得ていることである。エクソソームは血液から分離可能であり、リキッドバイオプシーの一つの方法となりえる。 今年度は細胞株とマウスを用いた基礎実験を行った。まずゲノム編集によるPDL1ノックアウト細胞株の樹立を悪性黒色腫、肺癌、前立腺癌などの複数の細胞株で行った。PDL1をノックアウトした細胞株は、C57BL6マウスに移植すると野性株に比べて有意な腫瘍増殖遅延が見られた。患者の血漿からエクソソームを分離し、ELISAでのPDL1の測定を試みたが、あまりうまくいかず条件検討を行っている段階である。
次年度に通常型エクソソームとPDL1ノックアウト型エクソソームを腫瘍移植マウスに投与して、その腫瘍増殖や放射線抵抗性に関わる影響を調べる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PDL1ノックアウト細胞株の樹立に成功し、マウスでその腫瘍増殖に与える影響の大きさを確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度に通常型エクソソームとPDL1ノックアウト型エクソソームを腫瘍移植マウスに投与して、その腫瘍増殖や放射線抵抗性に関わる影響を調べる予定である。またPDL1のELISAの最適化を行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響で4-6月に実験ができなかったことと、世界的な実験機材の品薄により物品購入がしにくかった面があったため。次年度で消耗品費として使用する予定である。
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