2021 Fiscal Year Research-status Report
子宮頸癌の網羅的ゲノム解析による放射線治療効果の予測因子の探索
Project/Area Number |
20K16731
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
前本 均 琉球大学, 病院, 助教 (70774470)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 子宮頸癌 / 次世代シークエンサー / ゲノム解析 / 放射線治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、子宮頸癌に対する根治的放射線治療を開始する前に遺伝子変異解析のため少量の生検検体を採取し、子宮頸癌の遺伝子変異情報を次世代シークエンサーを用いて網羅的に解析し、放射線治療の側面から治療効果や生存との関連を調べ、ひいては遺伝子変異情報に基づいて個別化された子宮頸癌の新たな治療戦略の開発につなげることを目的としている。具体的には、遺伝子変異情報に基づいて局所遺残や照射野内再発が多い群を特定できれば局所線量を増加させる、また照射野外再発や遠隔転移が多い群へは照射範囲や化学療法の内容を検討することで治療成績が向上する可能性がある。反対に治療成績が非常に良好な遺伝子変異を有する群を特定できれば、治療強度を落として有害事象の低減を期待できる。さらには子宮頸癌の発症にはHPV感染が最大のリスク因子とされているが、本研究では子宮頸癌の網羅的遺伝子変異情報と原因HPV型の関連を詳細に解析し、子宮頸癌発症についての新たな知見を得ることも目的としている。子宮頸癌の原因となるHPV型は多数あり、その分布には地域差があることが報告されているため、本邦における子宮頸癌の網羅的遺伝子変異情報と、放射線治療の効果や原因HPV型の関連を調べる試みは独自性が高いと考えられる。本研究について、当初の予定通り2020年度から検体採取を開始しており、これまでに24検体を採取した。そのうち15検体でDNA抽出が完了し、6検体で解析まで完了した。今年度中にはおよそ30検体までの解析を終了する予定としている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年9月の初回検体採取からこれまで24検体の採取が完了した。本研究全体では当初70-80例の登録を見込んでいたが、当初予定よりも試薬の費用がかさんだため、全体として30例前後の解析まで対象数を減らすよう研究計画を見直す必要が出てくる可能性が高い。30例前後の登録は今年度中には完了する見込みで、これは当初の登録期間内に完了すると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は引き続き検体採取、DNA抽出、次世代シークエンサーでの解析を進めていく。治療効果等についての情報収集も並行して行う。今年度~次年度にかけては収集した情報から研究成果のまとめや公表にむけての取り組みを行っていく。
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Causes of Carryover |
計画当初はゲノム解析に必要な試薬をまとめて購入予定であったが、試薬に使用期限が短いものが含まれているため、実験の進捗に応じて都度購入する必要があることが判明した。そのため次年度使用額が生じている。次年度以降に実験の進捗に応じて試薬を購入していく費用に充てる予定である。
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