2020 Fiscal Year Research-status Report
低線量X線照射の老化、癌化、分化に対するホルミシス効果を検証する基礎研究
Project/Area Number |
20K16736
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Research Institution | Nihon institute of Medical Science |
Principal Investigator |
小川 由香里 日本医療科学大学, 保健医療学部, 准教授 (80512409)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | X線 / ホルミシス / 老化 / 癌化 / 分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
高線量のX線は、癌細胞選択的な細胞死誘導効果を有していることが知られており、癌治療などの臨床現場で広く使用されている。一方、低線量のX線は、定期健康診断などの検査や歯科撮影などで多用されている。しかし、低線量のX線暴露により、生体の機能に対してどの程度の影響を与えるか不明である。本研究では、培養細胞を用いて、低線量のX線暴露により寿命、細胞老化、炎症、癌化、分化誘導、薬剤感受性などに与える影響を調べる。さらに、高齢者は多くの薬剤を併用することが多いため、薬剤併用によりX線への感受性がどの程度変動するかを検討する。 本研究においては、様々な指標に汎用できる細胞レベルの影響評価系の構築が必須となる。そこで、本年度は、X線照射条件を詳細に検討し、影響評価系の確立を目指した。その結果、X線照射時に96穴プレートを用いた場合は、ヒール効果による影響を受け、プレートが置かれた位置や穴の場所で結果が変動することが示された。X線照射時には6cm dishを用い、X線照射後に6cm dishより回収した細胞を96穴プレートに再播種して影響評価を行うことにより、再現性の高いデータが得られる可能性が示された。さらに、確立した影響評価系を用いてX線照射による細胞傷害効果を確認した結果、数種の細胞において、500mGyのX線照射時に細胞傷害効果がみられた。今回確立した細胞レベルの影響評価系は、低線量X線による寿命、細胞老化、炎症、癌化、分化誘導、薬剤感受性などに与える影響の検討にも応用可能であると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
様々な指標に汎用できる細胞レベルの影響評価系の構築が、本研究の成否に直結する。このことから、初年度はX線照射の条件設定に重点的に取り組み、一定の成果を得ることができた。しかし、新型コロナウイルス蔓延による研究活動の制限を受け、当初計画していた低線量のX線照射による細胞老化、癌化などに対する影響評価の実施まで至っていない。以上のことから、全体としての進捗状況は遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、確立した細胞レベルの影響評価系を用いて、様々な細胞に対するX線照射時の細胞傷害性の有無を確認する予定である。また、確立した影響評価系を応用し、低線量のX線照射による細胞老化、癌化などに対する影響評価を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は、新型コロナウイルス蔓延による研究活動の制限を受け、当初計画していた低線量のX線照射による細胞老化、癌化などに対する影響評価の実施まで至らなかった。このことから、細胞培養や生化学実験で使用するための消耗品費、研究成果発表のための国内旅費、印刷費、論文投稿料や英文校正代において、次年度使用額が生じた。 次年度期間中、本年度確立した影響評価系を応用し、低線量のX線照射による細胞老化、癌化などに対する影響評価を実施する際に消耗品費を使用する予定である。また、新型コロナウイルスの国内感染状況も注視しながらになるが、研究成果発表を行う際に旅費を使用する予定である。
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Research Products
(2 results)