2020 Fiscal Year Research-status Report
新規放射線防護剤の探索―有機化合物の放射線応答性の解明―
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20K16740
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Research Institution | Asahi University |
Principal Investigator |
外山 実千留 朝日大学, その他部局等, 研究職員 (80834168)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 放射線防護剤 / 活性酸素種 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では抗酸化型放射線防護剤の開発と放射線防護メカニズムの解明を目指している。第一段階として、先行研究によりX線照射下での活性酸素種の変化量が明らかとなっている化合物を用いて非放射線照射下での抗酸化能の判定を進めている。活性酸素種を試薬によって反応させ、蛍光試薬DHE(Dihydroethidium)、APF(Aminophenyl Fluorescein)を用いてスーパーオキシドとヒドロキシラジカルの検出を行うことにより活性酸素種の減少を判別する。この実験により非放射線照射下での抗酸化能が明らかとなれば、X線照射によって活性酸素種との反応性が変化する化合物を発見することができる。 現在は先行研究から約200種類の構造および名称が明らかとなっている有機化合物から抗酸化能判定実験を進めている。先行研究の結果から、化合物類はX線照射下での活性酸素種の変化量と種類によって4つのグループに分けることができる。本研究ではX線照射下でスーパーオキシドとヒドロキシラジカルの両方が増加したものをグループ1、スーパーオキシドのみ増加したものをグループ2、ヒドロキシラジカルのみ増加したものをグループ3、両方増加しなかったものをグループ4としている。この結果と本研究による抗酸化能判定実験の結果を比較したところ、X線照射下での活性酸素種との反応性が異なる化合物がどのグループにおいても複数確認された。よってこれらの化合物はX線によって反応性が変化していると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の影響により研究のスタートが遅れたため、当初の実験計画よりやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き有機化合物の抗酸化能判定実験を進める。またUV照射下での活性酸素種の変化量を調査し、これまでの結果と比較を行う。以上の結果を元にしてX線応答反応を示す化合物を選択し、X線照射前後での構造変化を機器分析によって解析を行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響により学会が中止となり、学会参加費、旅費が不要であったため。
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