2022 Fiscal Year Annual Research Report
化学交換飽和移動MRIを用いた脳内グリシン動態モニタリング法の開発
Project/Area Number |
20K16774
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Research Institution | Niigata University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
大野 健 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 助教 (40826153)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 化学交換飽和移動法(CEST) / グリシン(Glycine) / アルツハイマー病(AD) / 磁気共鳴画像法(MRI) / サロゲートマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
統合失調症やアルツハイマー病などの精神・神経疾患では、脳内のグリシン濃度が変化することが知られている。脳内のグリシン濃度分布を画像化することができれば、精神・神経疾患の病態解明に繋がる可能性がある。本研究では、脳内グリシン動態の変化を化学交換飽和移動MRI(CEST-MRI)を用いて無侵襲にモニタリングする新たな手法(GlyCEST法)を開発し、生体(マウス)において手法の妥当性を検証することを目的とする。 これまでに既知濃度、pHの溶液ファントムを用いCEST-MRI法による代謝物イメージングの撮像条件やデータ処理・解析の最適化を行うとともに、GlyCEST法を生体マウス脳の測定に適用し、脳内グリシン濃度分布を画像化した。最終年度は、AD(Alzheimer's disease:AD)モデルマウスである5xFADマウスを用いて、ADマウスにおける脳内グリシン濃度分布の変化を計測し、脳組織濃度と比較することにより、開発手法の妥当性を検証した。正常マウスでは、GlyCEST効果は大脳皮質よりも視床で高値となり(P < 0.0001, paired t-test)、この結果は生化学検査の結果と一致した。5xFADマウスでGlyCEST撮像を行った結果、海馬ではなく大脳皮質(P < 0.05, unpaired t-test)および視床(P < 0.0001, unpaired t-test)のグリシン濃度が正常マウスに比べて低値となった。これらの成果は、英文原著論文として発表した(Ohno et al., Contrast Media Mol Imaging, 2021)。これらの研究成果から、CEST-MRI技術をマウス脳内のグリシン濃度分布の測定に応用することが可能であることが示唆された。また、本手法によって、ADマウスの脳内グリシン濃度の変化を捉えることができた。
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Research Products
(2 results)