2022 Fiscal Year Annual Research Report
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20K16775
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Research Institution | Southen Tohoku Research Institute for Neuroscience |
Principal Investigator |
加藤 亮平 一般財団法人脳神経疾患研究所, 南東北がん陽子線治療センター, 研究員 (90867566)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 放射化 / モンテカルロシミュレーション / 陽子線治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、陽子線治療において歯科金属の放射化による影響を定量的に評価することを目的としている。前年度までに、モンテカルロシミュレーションにより歯科金属周囲の線量増加を調査を行い、処方線量に対して十分低いことを明らかにした。しかし、これは過小評価している可能性があったため、当年度はこの点について再調査を実施した。 歯科金属は加工前のサイズが様々であり、その影響の不確かさを可能な限り小さくする必要があった。そのため、1 cm×1 cm×1 cmの特注加工した単純形状の人工骨頭用のチタン合金を使用して解析を行った。この金属は歯科用にも使用されることがあり、他部位でもインプラントなどで使用させることがある。陽子線治療ではパッシブ法とスキャニング法の2つの種類の照射方法があり、パッシブ法のほうがビームライン機器から発生する中性子量が多いことが報告されている。中性子は放射化にも影響すると考えたため、パッシブ法においてこの中性子が金属の放射化に及ぼす影響も評価した。まずモンテカルロシミュレーションであるPHITSを使用し、パッシブ法による陽子線治療においてチタンから生成される放射性核種と誘導放射能を計算した。次に、生成核種から放出されるガンマ線、ベータ線、ポジトロン線のエネルギースペクトルをライブラリに基づいて算出した。最後に水中に設置した金属から上記の放射線を放出させ、金属周囲の線量分布を計算した。その結果、金属周囲の線量は陽子線エネルギーが高くなるほど大きくなる傾向にあり、また中性子の影響でも線量が増加することが明らかとなった。
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