2020 Fiscal Year Research-status Report
新規キレート剤の開発による未修飾抗体の汎用的な放射性標識法の確立
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20K16784
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
金井 彩香 群馬大学, 大学院医学系研究科, 寄附講座等教員 (10847495)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | RI標識抗体 / キレート試薬 / 放射性医薬品 |
Outline of Annual Research Achievements |
種々の抗体と混ぜるだけで目的の標識体を得ることができるpre-labeling法に着目し、未修飾抗体を簡便に放射標識できる新規キレート試薬の開発を目的として、初年度は主に候補化合物の設計と有機合成を行った。当初の予定通り、放射性金属と錯体を形成する部位としてDOTA構造、リンカー部位にGly-Gly-Gly構造を選択し、これをペプチド固相合成法を用いて合成した。活性エステル部位にはNHSとTFPを候補とし、液相合成により活性エステル構造の異なる2種の化合物を、簡便に得ることができた。 NHS活性エステル体とTFP活性エステル体を比較したところ、NHS体は安定性が低かったため目的の試薬としての利用は困難であると判断し、以後は安定性の高いTFP体を用いて検討を行うこととした。 本試薬に対してIndium-111標識、及び抗NuB2抗体との結合試験を行ったところ良好な111In標識率と抗体結合性を示し、さらにCopper-64を用いた検討でも抗体標識が可能であることが認められた。また、放射標識された抗体はカートリッジ型カラムにより短時間で簡便に精製分離することができた。 本試薬について、抗体を抗VEGF抗体に変更して同様の検討を行ったところ、抗Nub2抗体での検討と同様の傾向を示し、試薬がさまざまな抗体に広く利用できる可能性を認めた。 さらに、安定性や体内動態試験を行う際の対照化合物として、従来法であるpost-labeling法による標識を行うための試薬を合成した。得られた試薬を実際に抗体と結合し、111In標識が可能かの確認を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、候補化合物の設計、合成と標識検討を完了した。先に設計したNHSエステル体は安定性が不十分であったが、その結果を薬剤設計にフィードバックし、活性エステル部位をTFPに変更することで目的に合致する候補化合物を得ることができたため、進捗はおおむね予定の通りである。
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Strategy for Future Research Activity |
化合物の合成を完了し、実際に111-Indium標識と抗体との結合を行った。次年度以降は標識条件および抗体結合の条件についてさらなる最適化を進める。また、得られた標識抗体の安定性、標的タンパクとの結合性、腫瘍集積性についてin vitro、in vivoでの検討を行う予定である。従来法のpost-labeling法により放射標識された抗体と、安定性・結合性・体内動態について同等であることを確認し、担癌マウスにおける腫瘍集積性を評価する。さらに、Copper-64標識体を用いたPET撮像による画像化を予定している。
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Causes of Carryover |
試薬購入において端数が生じてしまったため
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