2021 Fiscal Year Research-status Report
新規キレート剤の開発による未修飾抗体の汎用的な放射性標識法の確立
Project/Area Number |
20K16784
|
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
金井 彩香 群馬大学, 大学院医学系研究科, 寄附講座等教員 (10847495)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | RI標識抗体 / キレート試薬 / 放射性医薬品 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では未修飾の抗体を簡便に放射性標識できる試薬の開発を目的として、これまでにpre-labeling法に用いることのできる新規キレート薬剤の設計および合成を主として行ってきた。特に当該年度においては、前年度に有機合成の手法により得た化合物のin vitro分析および評価を行った。 これまでに、本薬剤の111In・64Cuに対する高い標識率、抗NuB2抗体との良好な結合性、標識された抗体のカートリッジカラムによる簡便な精製が認められているため、本年度にはさらに得られた標識抗体の安定性・細胞結合性を評価した。安定性についてはEDTA溶液中と血清中安定性を、細胞結合能についてはRPMI1788細胞に対するバインディングアッセイを、それぞれ評価方法としている。また、本評価においては従来法であるpost-labeling法により標識した抗体を比較対象として用いている。 本研究において合成された新規キレート薬剤DO3A-GGG-TFPによって標識された抗NuB2抗体は、従来法にて標識された抗NuB2抗体と同程度の安定性・細胞結合性を示し、新規キレート薬剤の抗体標識における有用性が認められた。 また、次年度に行う予定の腫瘍集積性評価に先立って、RPMI1788を皮下に移植した担癌モデルマウスの作製を行った。しかし本細胞株はマウス皮下での増殖が良好ではなく、予定していたモデル個体数の確保が困難であったため次年度以降はマトリゲルを用いた担癌モデル作成、あるいは抗体-細胞株の組み合わせの再検討を行う予定である。またノーマルマウスを用いた体内動態の比較やPET撮像によるイメージング画像の取得など、in vivo評価を主として予定している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、新規キレート薬剤により標識した抗体のin vitro評価としてEDTA溶液中安定性・血清中安定性・細胞結合実験を行った。本検討により、新規薬剤が所期の通りに有用であることが認められた。一方で、先立って行ったモデルマウスの試作では、in vivo評価の実験系においては現在用いている方法では担癌モデルマウスの作製が困難であることも示されたため、次年度の評価系の構築に結果をフィードバックすることが可能である。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度では主にin vivo評価を行うことを予定している。これにより、当初計画していた薬剤の設計・合成(初年度)→in vitro評価(2年目)→in vivo評価(3年目)が全て完了となる予定である。in vivo評価としては、ノーマルマウスを用いた体内動態試験、担癌モデルマウスを用いた腫瘍集積試験、PET撮像による画像の取得を行う。また実験に先立って用いる抗体-細胞株の再検討、あるいはモデルマウス作製方法の検討を行う。全ての実験は、従来法であるpost-labeling法により標識された抗体を比較対象とする予定である。
|
Causes of Carryover |
世界情勢の影響により、一部の試薬・プラスチック製品・ヘリウムガスなどが十分量購入できなかった。次年度請求分と併せて抗体やプラスチック製品などの購入に充てる予定である。
|
Research Products
(1 results)