2021 Fiscal Year Research-status Report
MR単独治療計画における定量的磁化率画像を利用した画像誘導放射線治療法の確立
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20K16786
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
菅 博人 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 助教 (80789305)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 定量的磁化率画像 / 画像誘導放射線治療 / 前立腺癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
前立腺がんのMR単独放射線治療においては従来から金属マーカーを留置するもしくは,CTで描出された石灰化を実際の治療時に撮影するコーンビームcomputed tomography(CT)を画像誘導放射線治療時の位置照合に利用している.しかし,前立腺の石灰化は一般的なMR画像上で磁化率効果によって正確な形や大きさで描出できないうえ,同じく無信号となる血腫などと区別することが難しかった.そこで石灰化や血腫などの磁性の違いを評価可能な定量的磁化率画像(QSM:Quantitative susceptibility mapping)解析を前立腺がん患者に適応することを考えた.なお,QSM解析は一般的なMR画像である絶対値画像ではなく位相画像を用いる.QSMでCTと同様に前立腺内の石灰化が描出できるかどうか疑似石灰化としてヒドロキシアパタイトを用いてファントムを作成し,CT撮影とQSM解析から得られた磁化率画像上での石灰化の体積や描出位置を比較した.また前立腺がんの放射線治療を受けた患者の画像を用いて同様にCTと磁化率画像で描出された石灰化の描出能を比較した. その結果ファントムと患者の絶対値画像で無信号の石灰化をQSM解析で描出することに成功した.さらにQSM処理によってMRIの絶対値画像上で変化していた石灰化の形や大きさは基準となるCTで描出された石灰化の形や体積とよく一致することが分かった.したがって,QSM解析は前立腺がんのMR単独治療計画における画像誘導放射線治療の照射位置精度CTを使用した場合と同様に向上できることが分かった.これらの成果はJournal of Applied Clinical Medical Physicsに掲載された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に進んでいる.これまでの研究で前立腺がんのMR単独放射線治療を受けた患者の画像を使用してQSMによって描出された石灰化がMR単独放射線治療計画における画像誘導放射線治療に役立つことを示した.当初の目的であったQSMをMR単独放射線治療計画における画像誘導放射線治療に利用できることを確認できた,しかし前立腺内の石灰化の磁化率値がやや不安定になる傾向があるためQSMの画像処理にさらなる改善が必要だと考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度に行ったQSMを利用した石灰化描出および,CTとの描出位置や体積の評価において,MR単独放射線治療計画における画像誘導放射線治療に役立つことが示唆された.しかしその研究内で作成したQSM画像は評価可能ではあったが,研究計画当初から予想された腸管内の空気,内臓脂肪の影響でBackground field removalの画像処理が不十分になる問題によって,計算された磁化率値がその付近で精度が下がる現象が起きた.そのため,QSM解析における画像処理をさらに改善する必要ある.令和4年度はこの問題に対して画像処理法の開発を行い,その評価を行う.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス蔓延のため,学会等の参加を見合わせていたため.学会の参加,発表に利用する予定である.
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Research Products
(1 results)