2020 Fiscal Year Research-status Report
肺癌術前化学放射線療法における呼吸器有害事象の低減に向けた最適な照射方法の確立
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20K16790
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
高橋 重雄 香川大学, 医学部附属病院, 助教 (90635773)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 非小細胞肺癌 / 術前 / 化学放射線療法 / 放射線肺臓炎 / 強度変調放射線治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、肺癌に対する術前化学放射線療法(NACRT)における呼吸器有害事象の低減に向けた最適な照射方法を明らかにすることである。本年は以下の2つの研究を遂行した。 1.新規データセットによる肺癌NACRTの呼吸器有害事象に関する後ろ向き観察研究 2013年12月-2019年7月に50Gy/25回のNACRTを施行された16例を対象に、Grade 2以上の放射線肺臓炎(≧G2RP)と気管支胸膜瘻/肺瘻(BPF/PF)の発生頻度を調査し、DVHパラメータを用いた既報のリスク因子と術後呼吸器有害事象の関連を検討した。≧G2RPの発生頻度は全体で19%であった。V20r≧12%またはMLDr≧5.6Gyのリスク因子を有する患者において、≧G2RPの発生頻度が高かったため(それぞれ33%)、術後も残存する肺のリスク因子に留意すべきと思われた。BPF/PFの発生は認められなかった。 2.模擬治療計画による肺癌NACRTにおける三次元原体照射(3D-CRT)と強度変調放射線治療(IMRT)の比較研究 上記16例のうち、既報のリスク因子を有していた11例を対象に、3D-CRTとIMRTの両者で模擬治療計画を作成し、DVHパラメータを比較した。IMRTにおいて、V35gとV40gが有意に低減されていた(3D-CRTのV35g中央値16.1%、V40g中央値14.9%に対し、IMRTのV35g中央値12.0%、V40g中央値9.2%)。IMRTにおいて、全てのリスク因子を回避できていた割合が有意に高かったため(3D-CRT 0%、IMRT 55%)、肺癌NACRTにおけるDVHパラメータを用いた既報のリスク因子の回避に、IMRTが有用であると思われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画調書作成時点で、上記2つの研究を0.5年ずつ、計1年で実施する予定であったため、計画通り進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
肺癌NACRTにおけるDVHパラメータを用いた既報のリスク因子の回避に、IMRTが有用であると思われたため、前向き観察研究を計画する予定である。
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Causes of Carryover |
(理由) 今後の研究の推進方策に記載の通り、研究を遂行していくため。 (使用計画) 研究を遂行していくために必要な物品等を購入する。肺癌術前化学放射線療法や強度変調放射線治療の新たな知見に関する情報収集のために、関連学会への調査目的の旅費を計上する。
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