2023 Fiscal Year Annual Research Report
腸管オルガノイドによる放射線腸管障害に対する再生治療効果の解析
Project/Area Number |
20K16809
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Research Institution | National Institutes for Quantum Science and Technology |
Principal Investigator |
三浦 太一 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学研究所 放射線規制科学研究部, 主任研究員 (30803209)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 腸管オルガノイド / 放射線治療 / 再生医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
腸管を含む消化管は腹部の大部分を占める巨大な臓器であるにも拘らず、放射線感受性が非常に高く放射線障害が発生しやすいため、放射線がん治療、および重粒子線治療の適用の幅を狭める原因となっている。我々はこれまで増殖因子や糖鎖などの治療ツールの投与により放射線障害を軽減することを目的とした研究開発を実施してきた。しかし、これらの治療は放射線被ばく後に生き残った少数の細胞、特に組織幹細胞を活性化することを目的としており、高線量被ばくにより大部分の細胞が死滅している場合は効果が期待できない。したがって、外部からの組織幹細胞を含めた移植治療が必要とされている。本研究では、高線量による放射線照射による放射線腸管障害モデルマウスに、生体外で分化培養した腸管オルガノイドを移植することで、腸管構造を再建できるか検討する。 本年度はヒト腸管オルガノイドから腸幹細胞を単離し、それらを放射線腸管障害モデルマウスに移植する実験を実施した。しかし、短時間の生着は観察されるものの腸管構造の再建は認められなかった。これはマウス腸管オルガノイドを用いた場合でも同様であった。今回、移植にはマトリゲルを使用したが、生着時間・生着率を改善するためにはハイドロゲルなどの足場材料の工夫が必要であるかもしれない。一方で、クリプト周辺の間質細胞が腸幹細胞をはじめとした腸管構成細胞群の恒常性維持・再生促進に寄与することが知られており、前年度ではヒト由来の間質細胞の一部が放射線腸管障害部位に生着することが示唆されていた。今年度でもその再現性が得られ、放射線腸管障害に対する一定の治療効果が認められた。
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