2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K16818
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
竹中 亮介 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (30823421)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 造血幹細胞移植 / 全身照射 / 強度変調放射線治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
造血幹細胞移植は多くの血液疾患に対する根治的な治療法である。同種造血幹細胞移植の前には生着不全の防止のために大量化学療法と全身照射による前処置が行われるが、全身照射では正常臓器への被曝によって生じる放射線障害が時に重篤な問題となる。全身を照射するのではなく、正常臓器への被曝線量を低減させて全骨髄およびリンパ系にのみへ照射することで放射線障害を避け、移植後の予後改善に繋げることが本研究の目的である。全骨髄リンパ系照射については海外では少数例での報告があるものの、本邦における施行報告はまだない。当院では過去5年間で、新規放射線治療装置Helical TomoTherapyを用いて全身照射を強度変調放射線治療で施行する方法を確立した。これをさらに洗練させて全骨髄リンパ系照射を施行する。全骨髄リンパ系照射により正常臓器の放射線障害を低減させることにより多くの血液疾患の予後改善に繋がることが期待され、非常に意義の大きい研究である。 本年度は16症例に対して造血幹細胞移植前全身照射を施行した。そのうち3症例では脳、眼球、生殖器などを遮蔽した照射を行った。 さらに本年度は強度変調放射線治療を用いた全身照射による造血幹細胞移植の成績を、2021年11月に開催された日本放射線腫瘍学会第34回学術大会において報告した。移植後1年時点における全生存割合は81.8%、無再発生存割合は54.0%、無再発無有害事象発生生存割合は42.0%であった。これらは従来の照射方法による全身照射での移植後成績の文献報告と遜色のない成績であった。患者希望により卵巣遮蔽を行なった若年成人女性症例において無再発で月経回復した症例も経験された。今後は引き続き症例集積を進めるとともに、より良い線量分布を得るための放射線物理的研究も行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は16例に対して造血幹細胞移植前全身照射を施行した。当初の予定通りの症例数である。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き症例集積を進めるとともに、より良い線量分布を得るための放射線物理的研究も行う予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染流行に伴い国際学会が中止となったため旅費の使用がなくなったため。
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Research Products
(1 results)