2022 Fiscal Year Research-status Report
タイムラプス観察から迫る陽子線照射後の生体反応動態:最適な分割法開発に向けた検討
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20K16830
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
中嶌 晃一朗 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (50866176)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 陽子線治療 / FLASH照射 / タイムラプスイメージング / ショウジョウバエ |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の本研究の目的は陽子線照射後に生体内で起こる細胞応答、生体反応を経時的に観察し、X線照射後のものと比較することで、陽子線治療独自の最適な線量分割法開発につなげることであった。一方で、自施設において通常の放射線治療で用いられる線量率の数百倍から数千倍高い線量率を用いる超高線量率照射法(いわゆるFLASH照射)と呼ばれる照射法を用いた照射実験を行うための環境が整ったことから、昨年度よりショウジョウバエに対するFLASH照射実験を優先的に行うこととした。 昨年度に引き続き、野生型系統(Oregon-R)の未交尾の成虫雌に対する全身照射実験を試行回数を増やし、照射による影響を産卵数、第一世代子孫(F1)の蛹化率・羽化率、羽化後の単位時間当たり活動量を計測することで評価した。陽子線FLASH照射は線量率>1000Gy/sec以上を用いて、50Gyの単回全身照射を行った。結果的には試行回数を増やしたが、今回の評価項目において、通常線量率陽子線照射とFLASH照射による統計学的に有意な群間差を確認することが出来なかった。 また、三齢幼虫に対する40Gyの全身照射を行い、照射後個体の遺伝子発現レベルの網羅的解析をマイクロアレイを用いて行った。照射後2時間のサンプルを用いて通常線量率陽子線照射とFLASH照射の両群比較を行ったところ、多くの遺伝子発現パターンは似ていたが、いくつかの特定遺伝子において発現量の違いが確認できたため、今後対象遺伝子について追加解析を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の研究計画ではFLASH照射実験を行うことを想定していなかったが、我々の施設にてFLASH照射実験を行う体制が整ったため、予定の研究内容よりも優先してFLASH照射実験を行うこととした。そのため当初予定に対する進捗は遅れているが、追加計画に対しては順調であるため「やや遅れている。」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
自施設でのFLASH照射実験の試行回数に制限があるが、FLASH照射の生物実験が行える施設は世界的にも限られているため、引き続きFLASH照射実験を優先して行っていく予定である。マイクロアレイの結果を基に追加アッセイや追加解析を行い、研究成果の発表を予定している。
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Causes of Carryover |
本年度中に論文投稿を予定していたが、間に合わず投稿費などのために計上していた費用が余ることとなった。次年度には論文投稿を目指しており、そこに予算を充てるつもりである。
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Research Products
(1 results)