2021 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of intracellular reation through LINC complex in X-ray enhanced cell migration
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20K16838
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Research Institution | Kawasaki University of Medical Welfare |
Principal Investigator |
今泉 大将 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 助教 (90848160)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 放射線治療 / がん転移 / 核膜タンパク質 / LINC複合体 / LINC complex / SUN1 |
Outline of Annual Research Achievements |
放射線治療の1つであるX線治療では亜致死線量照射によりX線誘発性のがん転移を引き起こすという課題があり、細胞レベルにおいても同様に、X線照射によりがん転移に関連する細胞運動が亢進する現象が起きる。そこで、なぜX線を照射した際に細胞運動が亢進するのかということは学術的に明らかにしなければならない。本研究ではLINC(Linker of Nucleoskeleton and Cytoskeleton)複合体構成因子SUN1(Sad1 and UNC84 domain containing 1)を例にとり、放射線誘発性の細胞運動に関わる細胞極性や小胞体ストレスといった細胞内反応に対して、LINC複合体がどのように影響を与えるかを明らかにすることを目的に取り組んでいる。 本年度は、昨年度の放射線照射後の細胞生存率や細胞運動(細胞遊走能・細胞浸潤能)の結果をもとに、ヒト乳がん細胞株とヒト線維肉腫細胞株を選択した。それらの細胞においてSUN1を発現抑制するsiRNAを導入し、wound healing assayやleading edgeに位置する細胞において細胞極性に関連のあるゴルジ体の蛍光免疫染色を実施・評価することにより、SUN1が細胞極性へ影響を与えることを明らかにした。また、siRNAによりSUN1を発現抑制した細胞を用いて、LINC複合体と放射線照射により誘発する小胞体ストレスの関係について研究を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では(A)X線誘発性細胞運動(細胞遊走能・細胞浸潤能)の評価を行い細胞を選択し、(B)LINC複合体構成因子SUN1と細胞極性関連タンパク質の関係、また(C)LINC複合体とX線誘発性の小胞体ストレスの関係について研究を進めている。 昨年度に引き続き本年度も新型コロナウイルス感染症の影響により、照射施設の利用が制限される期間があった。 昨年度の(A)の細胞生存率や細胞遊走能・細胞浸潤能の結果をもとに細胞を選択し、ヒト乳がん細胞株とヒト線維肉腫細胞株を用いて、siRNAによりSUN1を発現抑制し、X線照射後の細胞運動能評価やゴルジ体染色によるX線照射後の細胞極性評価を実施した。その結果、SUN1を抑制した細胞はX線照射後leading edgeに位置する細胞が進むべき方向へ極性を示さないことが明らかになった。また、(C)に関しても実験をはじめている。
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Strategy for Future Research Activity |
(B)に関してさらに研究を進めるため、主要なSUN1バリアントを発現抑制した際にX線により誘発される細胞極性が変化するか否かの評価に取り組む。 (C)LINC複合体とX線誘発性小胞体ストレスの関係について研究に取り組む。 ERストレスの評価はPERK/eIF2α pathwayを用いて実施していく予定である。
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Causes of Carryover |
おおむね計画通りに進展しているが、昨年同様、新型コロナウイルス感染症の影響のため、学会等への参加の制限や照射スケジュールの遅れがあった。 次年度において、当初の予定通り前年度の研究費も含め、分子メカニズム解明のため、抗体や試薬、小規模機器などの消耗品が必要なため、その費用として使用する。
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