2020 Fiscal Year Research-status Report
肺癌に対する革新的適応放射線治療予想システムの開発
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20K16843
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Research Institution | Osaka International Cancer Institute |
Principal Investigator |
乾 翔輝 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター(研究所), その他部局等, 放射線腫瘍科診療放射線技師 (40834776)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 適応放射線治療 / 患者個別化治療 / in vivo dosimetry / EPID / 逐次近似再構成CBCT / データベース / 放射線感受性 |
Outline of Annual Research Achievements |
肺癌に対する放射線治療では、治療期間中の腫瘍の増大・縮小やリスク臓器の位置変動が、治療効果の減少・有害事象の発生を招く可能性がある。本研究では,患者体内射出ビームを利用した再治療計画時期予想システムを開発し、患者個別的に最適な時期における適応放射線治療の実施を目指している。 2020年度の取り組みとして、主に物理学的検討を挙げる。模擬腫瘍球入りコルクファントムに対する治療計画を作成し、本ファントムに照射して取得したEPID(電子ポータル画像装置)画像を解析した。基準画像と比較すると、模擬腫瘍の腫瘍径縮小に伴って、ガンマパス率が低下する現象が観察された。これによりEPID画像から腫瘍縮小度合を把握し、再治療計画時期の予測に繋げることが可能であることを明らかにした。また肺癌患者5症例に対する患者体内射出ビームも取得した。解析は症例数を増やしてから2021年度に実施する予定としている。 さらに治療中のログファイル(ビーム情報)および位置照合用コーンビームCT(CBCT)画像を用いた線量計算に関する検討を実施した。これによりCBCT上に三次元的な線量分布を表現でき、線量体積ヒストグラムベースで評価することが可能となる。現在英語論文執筆中である。 2020年度に下記の論文がRadiation Oncologyにアクセプトされた。 Novel strategy with the automatic noncoplanar volumetric-modulated arc therapy for angiosarcoma of the scalp 適応放射線治療を実施する上で、複雑なターゲットに対しても、さらなる治療計画の質向上のために必要となる技術を報告した。本技術が肺癌等の体幹部に応用された際、適応放射線治療の治療計画に大変有用となるため、本研究の基礎的検討として実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
物理学的検討では、ファントムを用いた実験はおおむね終了し、臨床症例のデータを集めている段階である。 また学会発表や論文報告を実施し、実績を積んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では、適応放射線治療の再治療計画時期予測モデルの作成を目指す。まず肺癌患者の患者体内射出ビームのEPID画像を取得した症例数を増やす。腫瘍縮小率とEPID画像のガンマパス率から再治療計画に最適な時期を同定する。また位置決め画像用のCBCTを用いた3次元線量分布を解析し、適応放射線治療の有無における線量評価を試みる。また、逐次近似再構成CBCT画像をこの3次元線量分布に応用する取り組みも行い、再治療計画時期予測モデルの精度を高めていきたいと考える。 さらに生物学的検討の準備に入りたいが、コロナ禍に伴う業務負担増により、来年度以降に検討したいと考える。早い段階で実施できるように努めたい。 本研究で得られた研究成果は国内外の学会で発表する。また、医学雑誌に投稿を行う。報道関係にも情報提供して、社会・国民に貢献するよう発信する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響により、PC端末および模擬腫瘍球入りコルクファントムの購入が次年度にずれ込んだことに起因する。
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Research Products
(2 results)