2021 Fiscal Year Research-status Report
ネフローゼ新規治療開発を目指した腎糸球体ポドサイトの足突起制御機序の解明
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20K16848
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
宇田川 智宏 東京医科歯科大学, 東京医科歯科大学病院, 助教 (30623392)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ポドサイト / 蛋白尿 |
Outline of Annual Research Achievements |
原尿は腎糸球体の血管内皮、基底膜、糸球体上皮細胞(ポドサイト)からなる濾過障壁を透過して生成される。高度蛋白尿を呈するネフローゼ症候群では、原尿生成の過程で濾過障壁を主として担うポドサイトの微細な足突起の突起構造が保たれず癒合している。小児に多い微小変化型ネフローゼ症候群では、ポドサイトの足突起構造の形態変化は可逆的であり、治療により回復することが病理学的に明らかとなっている。本研究では、ポドサイトに特異的に発現する転写因子WT1の上流にEGFP-mCherryを発現するよう遺伝子改変したマウス(WT1-RGマウス)を用いて、ポドサイト足突起形態の維持、形態障害後の修復過程における分子制御機構を解明し、ポドサイト障害に起因する蛋白尿に対する新規薬剤の開発を目指している。 2021年度は、コロナパンデミック明けよりWT1-RGマウスの繁殖を再開した。繁殖したマウスから摘出した腎臓を細胞レベルにばらし、フローサイトメトリーによりソーティングしたポドサイトのみを抽出するための条件を検討した。本年度は当初の計画通り薬剤投与によりWT1-RGマウスが蛋白尿を発現するのか、またその際にどのようなmRNA発現の変化が生じるかを解析する。 また検出したポドサイト遺伝子の機能解析を行うため胎児前駆細胞を用いた腎オルガノイドの解析手法を応用するための基盤を構築した。WT1-RGマウスの腎オルガノイドを構築してポドサイトの機能解析に応用可能か検討する
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度コロナ禍で全く進まなかった動物実験であったが、本年度は当初の研究計画に準じて腎糸球体上皮細胞(ポドサイト)に特異的発現するWT1の上流にeGFPとmCherryとを発現する遺伝子改変マウスの繁殖を行うことができた。WT1-RGマウスより摘出した腎臓からポドサイトを単離するため細胞をバラバラにし、フローサイトメトリーにより分離する条件の検討を行うことができた。また検出したポドサイト遺伝子の機能解析を行うため胎児前駆細胞を用いた腎オルガノイドの解析手法を応用するための基盤を構築した。
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Strategy for Future Research Activity |
WT1-RGマウスに対して、近年ネフローゼ症候群の一因の可能性が指摘されている抗UCHL1抗体を投与して蛋白尿の出現とポドサイト足突起の癒合を確認する。また時期に応じてポドサイト中の遺伝子発現変化をFCMソーティングし、mRNA-seqを提出する。それらの中から足突起の回復を制御する因子の探索を行うことを計画している。制御に重要な働きをしている遺伝子候補を見出し培養ポドサイトやマウス前駆細胞由来腎臓オルガノイドを用いて機能解析を進める。
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Causes of Carryover |
コロナ禍でマウスを用いた実験を進めることができなかったため、マウスの実験開始が遅くなり、大部分は2022年度に繰り越すことした。
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