2023 Fiscal Year Annual Research Report
糖タンパク質Fibulin-1に焦点を当てた動脈管閉鎖機構の解明
Project/Area Number |
20K16861
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
伊藤 智子 東京医科大学, 医学部, 客員研究員 (80784652)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 動脈管開存症 / 血管リモデリング / 細胞外基質 / 血管平滑筋細胞 / 血管内皮細胞 / Fibulin-1 / バーシカン / ヒアルロン酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
動脈管開存症は新生児の予後を左右する。動脈管の解剖学的閉鎖には内膜肥厚形成が必須である。 内膜肥厚は中膜から内側へ遊走する血管平滑筋細胞と複数の細胞外基質で形成され、動脈管の内腔を狭めて動脈管を解剖学的に閉鎖させる。本研究ではFibulin-1という細胞外基質に注目し、他の細胞外基質と共役して動脈管内膜肥厚を起こす機序を検討した。令和2年度に、遺伝子改変マウス(バーシカンのヒアルロン酸結合部変異マウス(VcanΔ3/Δ3)とFibulin-1欠損マウス)新生仔を用いて、これらの個体で、内膜肥厚形成減弱による動脈管開存症の表現型が出現することや動脈管でのFibulin-1、バーシカンの共局在を証明し、Fibulin-1が動脈管内膜肥厚形成に個体レベルで大きく関与することを示した。令和5年度は、令和3-4年度に引き続きヒト動脈管組織を用いて、Fibulin-1、バーシカン、EP4受容体の動脈管組織内発現分布を詳細に検討した。ヒト動脈管平滑筋細胞(hDASMCs)及び組織を用い定量的PCRと免疫染色を行った。hDASMCs でもEP4刺激でfibulin-1 mRNAは有意に増加した(n=7, p<0.05)。EP4とfibulin-1 mRNAは中膜と内膜肥厚部に同程度に発現していたが、versican mRNAは内皮を含む内膜肥厚部に有意に高発現していた(n=6, p<0.05)。免疫染色でもfibulin-1は中膜と内膜肥厚部に発現していたが、バーシカンは内皮細胞を含む内膜肥厚部、特に内皮近傍に分布が局在していた。そのほか、EP4下流以下でのFibulin-1を誘導するシグナル経路を検討したところ、これまでに明らかになっていたcAMP-PKAを介するヒアルロン酸産生経路とは異なり、PLC-PKC-NFκB経路を介することを明らかにした。
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