2022 Fiscal Year Research-status Report
頭蓋内石灰化および嚢胞を伴う白質脳症の遺伝学的病態の解明
Project/Area Number |
20K16862
|
Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
岩間 一浩 横浜市立大学, 附属市民総合医療センター, 助教 (60868058)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 白質脳症 |
Outline of Annual Research Achievements |
遺伝子解析を過去に行い、未同定となっていた症例の中で、LCC(leukoencephalopathy with calcification cyst)にあてはまる症例の探索を行った。その結果、 新規にLCCと類似した症例を検出した。本症例の全エクソーム解析では、新規の病原性候補遺伝子でde novoのヘテロ接合性バリアントが検出されていた。この遺伝子は、微小管のマイナス端を安定化して,ニューロンの極性・発生を制御する機能があるタンパク質をコードする機能を有しており、神経疾患の感受性遺伝子の可能性があった。今後はGenematcherを通じて、バリアントの登録を行い、類似した表現型の患者の報告がないか、情報を集める方針である。 LCC未同定症例の全ゲノム解析データについて、BreakDancerというバイオインフォマティクスツールを用いて、欠失・挿入領域の探索を行った。BreakDancerに よる欠失・挿入領域のコールは、始めは10,660ヶ所であったが、健常コントロールに見られないものは、1,311ヶ所であった。15リード以上の検出があるもの、 核ゲノムに位置するもので、フィルタリングを行うと1ヶ所に絞られた。このコールについて、Integrative Genomics Viewer (IGV)を用いて目視で確認し、約1 k-bpの欠失を 検出した。この欠失は、遺伝子のない領域のものであったため、Variant of unknown significance (VUS, 意義不明のバリアント)と考えられた が、全ゲノム解 析データを新しいツールで解析することで、多くのコールの中から1つの確かなコールを抽出することができた。今後、同様の解析方法を調整することで、真の病原性バリアント検出につながる可能性がある。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまで経験のない解析方法だったため、データの解釈に時間がかかってしまっている
|
Strategy for Future Research Activity |
未同定症例について、全ゲノム解析、ロングリードシーケンスなどを行ったが、データの評価・確認に専門的な知識を必要とするため、今後解析を行っていく予定。
|
Causes of Carryover |
試薬を必要とする実験を、後回しにしているため、研究費の使用計画がずれている。今年度は、遺伝学教室と連携して、解析を行っていない検体について、新しい解析を進める予定である。ハード面の拡張も進める必要がある。
|