2021 Fiscal Year Research-status Report
Gut microbiota analysis in cancer immunotherapy for refractory acute lymphoblastic leukemia in children
Project/Area Number |
20K16864
|
Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
川原 勇太 自治医科大学, 医学部, 講師 (10570385)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | がん免疫療法 / 腸内細菌叢 / 腸内環境 / 小児急性リンパ性白血病 / バイオマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
1.ALL-R19 Blin開始 本研究では、「難治性小児急性リンパ性白血病(ALL)に対するがん免疫療法薬であるブリナツモマブ治療の有効性や副作用と、腸内環境との関連を解析し、新規バイオマーカー(生体内の物質で治療への反応性や副作用と関連する指標)を見出すこと」を目的としている。本研究は、JCCG(日本小児がん研究グループ)の臨床試験である、“再発難治性小児白血病に対するブリナツモマブを用いた全国臨床試験第II相試験”(ALL-R19 Blin)に紐づいて行う。国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)およびブリナツモマブ発売元企業であるAMGENからの研究助成(ALL R19 Blin Bio)による研究資金の支援の下、臨床試験開始準備を行ない、2021年12月16日からALL-R19 Blinを開始することができた。令和4年4月13日現在、61施設が参加しており、3症例が症例登録されている。 2.ブリナツモマブ治療前後の難治性小児ALL患者の糞便検体の収集 3症例から、糞便検体を計6検体収集し、ビーズ破砕法でDNAを抽出した。検体数がある程度集まったところで、次世代シークエンサーを用いたメタゲノム解析を行う予定である。 3.SCT-ALL-BLIN21開始 JCCGの臨床試験である“再発難治CD19陽性B細胞性急性リンパ性白血病に対する同種造血細胞移植後のブリナツモマブによる維持療法の安全性および有効性に関する多施設共同非盲検無対照試験:第I-II相試験”(SCT-ALL-BLIN21)におけるブリナツモマブ治療の有効性や副作用と腸内環境との関連も解析できることとなった。SCT-ALL-BLIN21は、2022年3月4日から開始している。これにより、解析症例数が増加し、ブリナツモマブ治療における腸内環境の影響の理解がより深まることが予想される。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、ALL-R19 Blinに紐づいて行うが、ALL-R19 Blinの開始が遅れたため、糞便検体の収集が当初の予定より進んでいない。 ALL-R19 Blinを開始するまでの間に、腸内環境解析の実行可能性の検討や糞便検体採取用物品の最適化を行い、糞便検体収集・腸内環境解析の準備を整えた。 一方、SCT-ALL-BLIN21にも参加できることになったため、今後糞便検体の収集がより早く進む可能性はある。
|
Strategy for Future Research Activity |
1.臨床試験の遂行:ALL-R19 BlinおよびSCT-ALL-BLIN21を安全に遂行する。 2.ブリナツモマブ治療前後の難治性小児ALL患者の糞便検体収集、およびDNA抽出:ALL-R19 BlinおよびSCT-ALL-BLIN21において、ブリナツモマブ治療前後に採取した難治性小児ALL患者の糞便検体を、研究参加施設から当科に送付していただく。送付された糞便検体から、ビーズ破砕法によるDNA抽出を行う。 3.糞便検体から抽出したDNAのPCRおよびシークエンス(メタ16S rRNA遺伝子解析):抽出したDNAを用いて、原核細菌が固有に持つ16S rRNA遺伝子をPCRによって特異的に増幅し、次世代シークエンサーであるMiSeqシステムを用いてシークエンスを行い、メタ16S rRNA遺伝子解析を行う。 4.糞便検体から抽出したDNAのライブラリ調整およびシークエンス(メタゲノムショットガン解析):抽出したDNAを用いて、ライブラリ調整キットでライブラリ調整を行う。NovaSeqシステムを用いてシークエンスを行い、断片化された遺伝子配列をすべて決定するメタゲノムショットガン解析を行う。 5.メタボローム解析:液体窒素で急速凍結した凍結糞便検体を用いて、ガスクロマトグラフィー質量分析法および液体クロマトグラフィー質量分析法によって、腸内細菌叢から産生される種々の代謝産物を測定するメタボローム解析を行う。 6.腸内細菌叢および代謝産物のブリナツモマブの有効性および免疫関連有害事象への影響の解析:メタボロゲノミクスによる腸内環境解析結果を用いて、ブリナツモマブ奏効群・非奏効群および合併症発症群・未発症群において、腸内細菌叢の多様性や系統組成、特定の腸内細菌の割合、腸内細菌叢の機能組成、腸内細菌叢由来代謝物質を比較し、バイオマーカーを探索する。
|
Causes of Carryover |
(理由) ALL-R19 Blinの開始が遅れたため、糞便検体の収集が当初の予定より進まなかった。そのため、メタ16S rRNA遺伝子解析関連費(MiSeq reagent kit v3、ロングプライマーなど)、メタゲノムショットガン解析関連費(ライブラリ調整キットなど)を使用しておらず、次年度使用額が生じた。 (使用計画) 2022年度は、糞便検体の収集・DNA抽出を行い、メタ16S rRNA遺伝子解析、メタゲノムショットガン解析を行う予定であり、メタ16S rRNA遺伝子解析関連費(MiSeq reagent kit v3、ロングプライマーなど)、メタゲノムショットガン解析関連費(ライブラリ調整キットなど)として使用する予定である。
|